美しいフォルムに最新技術を詰め込んだ
フラッグシップグランツーリスモ
次世代のアウディデザインを纏った『アウディA7スポーツバック』。マイルドハイブリッドを始めとする最新技術と美しいボディラインを南アフリカ・ケープタウンでモータージャーナリスト五味康隆氏が堪能。
『AUDI A7 Sportback』
世界中でSUV人気が高いのは周知の事実だが、今後ジワリと伸びそうな予感を抱くのがハッチバック形式のセダン。「アウディ」が昨年10月にワールドプレミアさせた新型『A7スポーツバック』の完成度を前にすると、自然とそう思った。
新型『A7スポーツバック』の国際試乗会の会場は南アフリカのケープタウン。なぜ、どの国からも遠い場所で行ったのか? デザインを綺麗に見せたい意図があったのだろう。
そう、この『A7スポーツバック』は2代目。その魅力には広い室内や積載力などセダン以上の使い勝手があるが、こだわって進化させたひとつにデザイン性、要はカッコ良さがある。
テール周りの処理は象徴的で3次元的形状が解りやすく表現されており、3分の1は凸で光を作り3分の2は凹で影を作る。他にも立体的エッジライン、前後フェンダーの盛り上がり、華麗なクーペライクな抑揚のあるフォルムが相まって、ケープタウンのカラッとした夏らしい日差しを受けると立体感を増して存在感をグッと高める。また夜の見栄えも見事。独創的なライト造形に加えて、エンジンスタート時の光り方の演出が憎いほどオシャレなのだ。
MMIナビゲーションプラスを選択した場合は、触覚及び音響フィードバック機能を備えた10.1インチと8.6インチのツインディスプレイに。物理キーが減らされたインパネ回りはスリークで実に美しい。ボディサイズはほどんど先代と変わらないが、室内長は21mm延長。後席のヘッドルームとレッグルームが拡大されて、さらに快適な空間となった。 また走りも大きく進化している。ひと足早くフラッグシップセダンの『アウディA8』が進化したことも背景にあるが、シャーシから電気系まで全てが刷新された効果は大きい。そのなかでも注目は、12kWの回生エネルギーを活用する48Vマイルドハイブリッドの追加と、4輪操舵の存在だ。
日本導入されるV6TFSIエンジンには7速ツインクラッチトランスミッションが組み合わさり、微低速の加減速で若干シフト変速に迷いが生じてギクシャクする時があるが、スポーティなフォルムに適したアクセル操作に対するダイレクトな反応と十分すぎる動力性能を備えている。
そこに20km/h以下で積極的にアイドルストップする味付けや、要所で加速を助けてアクセル操作に対する反応をさらに鋭くするマイルドハイブリッド効果が加わり、普段は燃費とスマートドライブがし易く、ワインディングでは気持ち良く走りやすかったのが興味深い。
ボディをふた回り小さく感じさせる取り回しと
安定した高速巡航を両立する4輪操舵システム
この賢く従順な動力性能に加えて、リアタイヤをフロントに合わせて操舵する4輪操舵があることでクルマが劇的に小さく感じさせているのがポイントだ。最大でなんと5度“も”操る積極的な味付けを施しているのに注目だが、加えてそれを違和感なく使いこなしているのが凄いこと。
結果として最小回転半径は1.1mも小さくなり、クルマがふた回りも小さくなる感覚を得られるし、高速走行時ではシャキッと向きが代わって鋭く旋回するのに安定性が損なわれないという二面性を両立する。
このようなアイテムを積むと重くなるのが難点だが、電子制御サスペンションでダイナミックモードを選ぶと車高が20mmも下がり、路面への張り付き感や安定感がさらに高まる。
これらセンスの良い仕上がりがあり、全長4969mm×全幅1908mm×全高1422mmのビックボディが優雅にも機敏にも走る。これで実用性や快適性まで高いのだ、ハッチバックセダンの今後に可能性を感じるのも仕方あるまい。
ドバイ経由で20時間以上かけて会場入りした五味康隆氏。その甲斐あってA7スポーツバックの素晴らしいスタイリングと走りを堪能することができた。
(PHOTO:アウディ TEXT:五味康隆)
アウディコミュニケーションセンター TEL0120-598106
http://www.audi.co.jp
(リポート:オートファッションimp編集部)