「壊れやすいけど惹かれる理由は?」
4人が語る”古き輸入車ライフ”の本音
「af imp.スーパーカーニバル2018」には、多くのインポートカー乗りが集結したが、なかには旧き輸入車乗りの姿を見ることもできた。しかも、比較的に若い世代が中心だったのだ。
だが、しかし’70〜’90年代の輸入車といえば「日本車と比べて修理費が高くて壊れやすい」というイメージがつきもの。いったい、彼らが旧世代インポートに惹かれる理由とは。大変だったエピソードを交えながら、4人のナマの声をお届けしましょう。
「仲間やショップの助けがあっての旧車生活です」
当時でも希少な純正ボディカラー”ニッケルグリーン”を纏った、メルセデス・ベンツのミディアムクラス280E(W123)。オーナーの「KACCHIサン」が購入したのは3年前なのだが、以前の愛車も同じ型式のクーペモデルだったという。
「ドアが長すぎたというか、W123のカタチが好きだったのでセダンに乗り換えただけです。高速道路では80km/hで巡航。飛ばすようなクルマでもないし、心にゆとりができましたね」。
「KACCHIサン」にとっての輸入車カスタムライフは、ファッションのひとつだという。
フルノーマルだった個体は、ワンオフ車高調でローダウン化。ホイールは、いま時を象徴する国産鍛造ホイールブランド「BMD(バラマンディデザイン)」から、クラシカルなディッシュデザイン『ヒストリック』を選択することでうまく調和させた。
「コツコツと時間をかけて蘇らせました。内装のシボに溜まった長年の汚れもブラシで少しづつキレイに。経年劣化の腐食が理由で走行中にマフラーが落ちたこともありましたが、そんな苦労話もいい思い出。自分には助けてくれる友人やショップがいたからこそ続けられています。旧車を維持するのは、環境が大切だと思いますね。もし、彼らと出会ってなければ? う〜ん、乗っていないと思います(笑)」。
「カスタムは試行錯誤でやり甲斐もある」
ジャガーXKに乗る「TAKUYAサン」は、クーペのフォルムに魅了されたひとり。これまでもメルセデス・ベンツCLKクラスなどを乗ってきたが、前の愛車も現在と同じ”XK”だったという。
その理由を聞くと、「じつは、前愛車は父親から譲り受けたものです。当時から大好きだったクルマなのですが、若造の自分には買えないラグジュアリークーペ。父親に懇願し、ようやく手にすることができましたが、トラブルがあって乗り換えることに。で、中古車価格が落ち着いてきた初期モデル(97年式)を自分で購入したんです」。
愛車は、さらにワイド感を高めるべくローダウン化。ホイールは、オーダーメイドで特注した「レオンハルト」を深リムで履く。ただし、日本ではカスタムベースとしてはマイナーな存在。リアのディフューザーは、スバル・インプレッサとトヨタ86用、フロントのカナードやバックフォグは日産フェアレディZを加工装着するなど、パーツの少なさをうまくカバーしている。そのぶん、オンリーワンなカスタム車が作りやすいというワケだ。
「修理を出すと数十万の請求は当たり前で、トラブルは本当に多い。でも、ノッペリとしたボディや、流れるような淡いプレスライン、ウッドを多用したインテリア然り……。現行モデルや最近のクルマにはない造り込みが魅力。もう完全にハマっちゃいましたね、維持は大変ですが次も最終型の2005年式に乗りたいです(笑)」。
「時代とともに味が出てきた、でも困るのが部品調達」
BMW325i カブリオレで参戦した「ロイネーさん」は、3シリーズ(第3世代)を3台も所有する、E36フリーク。車庫には、ボルトオンで過激にチューニングした318isや部品どり車などを抱えるが、いったいどんな魅力があるのだろう。
「いまの3シリーズはボディがデカくなりましたが、当時のE36は5ナンバーサイズ(セダンの場合)。コンパクトなボディなうえ、ハンドリングもいいし取り回しもしやすい。日本の道路事情にも合っていて乗りやすいんですよ。また、電子制御も今ほど複雑ではないので、イジりやすいのも魅力なんです」。
オーナーが語るように、カスタマイズやトラブルはご自身で行なっている。いま、E36の中古車ベースは格安で購入できるが、年式ゆえの苦労話もあるようで。
「20年前のクルマなので、純正部品の供給が減ってきていますね。日本国内で調達できない場合は、OEM商品を探したり、”eBay”といった海外の通販サイトからパーツ購入しています。最近は”味”が出てきたというか、この緩さがたまらなく好き。修理やトラブルは日本車のようにうまくいきませんが、いいクルマだし、僕は気に入ってますよ」。
「次に買うとすれば、フツーに走るクルマです(笑)」
オーナーの年齢は、20代後半〜30代前半であろうか。そんな「Y.Kサン」の愛車は、VWの初代ゴルフ・カブリオレ(通称ワンカブ)だ。
1974年にデビューした初代ゴルフは、カスタムベースとしても大人気を誇るのだが、彼の愛車は1991年式。じつはゴルフ3のカブリオレ登場まで販売された長寿モデルで、ベースのゴルフ1が1983年にモデルチェンジを行なうなか、1992年まで販売されていた。いわば、最終の熟成モデルというわけだ。とはいえ、年式では決して新しくないクルマ。果たして、旧車インポートゆえのどんな苦労があるのだろうか。
「天候だけでなく、走る道の状況や高度によって機関の調子が全く違う。昨日まで何事もなく走っていたのが、翌日にはご機嫌斜めになってしまうんですよ。ちなみに、今日も会場までたどり着くのが大変でした。ついに燃料ポンプがダメになったのかな(笑)」。
と、爽やかに話す彼だが、カスタムについてはホイールとステアリングが目を惹くのみ。できる限りオリジナルをキープすることがコンセプトだ。
「海外では人気ですが、日本では乗っている人が少ないので、なるべくオリジナルをキープしてます。本音を言えばイジりたいですが、まずはコンディションを優先すること。次期愛車の候補ですか? まったく考えていませんが、強いて選ぶとしたら”日常で止まらないクルマ”です(笑)」。
(ちんサブ)