今からでも購入候補に挙げたくなる傑作車
2009年に発売された『エクシーガ2.0GT tuned by STI』に続く、STIの7シータースポーツ第2弾『エクシーガtS』は、ミニバンにとって真に正しい乗り心地とは何かを教えてくれる一台だった。
スバルのモータースポーツ部門であるSTIが与えたエッセンスについて振り返ってみたい。
【エクシーガtS】
ついにスバル・クロスオーバー7の生産も終了し、”エクシーガ・ロス”にさいなまれる日々を過ごすスバリスト諸兄も多いことだろう。アメリカで出た7シーター車のアセントを日本に! との声もあるが、仮に導入されてもランクル200級のサイズはデカすぎて奥さんが運転できないなど、エクシーガユーザーの受け皿にはならない。エクシーガユーザー、および7人乗り車を所望するスバリストたちはどうすればいいのか!?
皮肉にも、我らがエクシーガの終焉を待っていたかのようにステップワゴンの『モデューロ』やノアヴォクシーの『GR』、セレナの『ライダー』などが台頭し、他銘のスポーツ仕立てのミニバン市場が盛り上がっている(少なくともメーカーは盛り上げようとしている)のが悔しいところだ。
そこで思い出していおきたいのが『エクシーガtS』。2012年にアプライドでエクシーガがE型へ移行したタイミングで設定され、「ブレンボ」ブレーキや18インチの『ポテンザRE050A』など、前作チューンドバイSTIよりも硬派な武装を提げていた。SUBARU車としては最重量級の1620kgという車重をあまり気にせずブレーキが踏み倒せるとあって、スポーツドライブ時の精神的限界が大幅に向上。エクシーガ本来の7シーター車としては極めて高次元な運動性能を満喫できたことが記憶に新しい。
思えばエクシーガは走りの素性が秀逸ゆえに、熱い走りを望むユーザーは決して多いとはいえないまでも、そのホット度は高く、意外とハードなチューニングが施されることが少なくなかった。
SUBARUマガジンでお馴染みのライター山本シンヤさんもtSに先駆けて自らの愛車エクシーガをSTIバージョンのような雰囲気に仕立てていたが、そこまでイジリたくなるほどの魅力に溢れていたクルマなのだ。
そんなエクシーガだが、tSは、STIの開発陣が全座席の乗り心地を入念にテストしてチューニングした成果として、運転席と同じかそれ以上に3列目シートの居心地が秀逸であることを改めて強調しておきたい。
運転して楽しいミニバンは少し増えたが、スポーツ走行時でも3列目の快適性が保たれるのは、筆者の知る限りエクシーガtSだけだ。
無駄な動きを排してサスペンションの動きを最適化してやれば、結果的に子供に優しい環境となる。その考えを具現化。
「神ポイント」
●7人乗りでもブレンボ&ポテンザで硬派に武装
●STIの職人が徹底的に煮詰めた3列目シートの快適性
●多少のスポーツ走行なら子供が酔わない
(TEXT:マリオ高野)
(リポート:スバルマガジン編集部)