チームスタッフはどこでどうやって過ごす?
観戦も楽しい「富士スピードウェイ」の秘策
国内で10年ぶり、富士スピードウェイでは半世紀ぶりの24時間レースとなったピレリスーパー耐久シリーズ2018の第3戦「富士SUPER TEC 24時間レース」。
“衣食住を揃えないとル・マンでは戦えない”とは、ル・マン・マイスターとして知られる寺田陽次郎さんの名言だが、今回の24時間レースでは特に、衣食住の”住”において、通常のレースとは異なった点が多く見受けられた。今回は、レースレポート番外編として紹介したい。
最近のメジャーなサーキットでは、各ピットにチーム用の小部屋が用意されているのが一般的。
2005年にリニューアルした「富士スピードウェイ」も、その例に漏れてはいない。普段はテーブルといすが置かれチームのミーティングなどで使用されるが、今回はここにエアマットを敷きつめて仮眠用のスペースとして使用するチームもあった。また、ピットビルに面したパドックには2階建て/4部屋のチームスイートと呼ばれる建物があり、さらにパドック内の数カ所には、プレハブのハウスも設置されていた。
ただし多くのチームに聞いたところ「ベテランのドライバーは、夜はホテルに戻ります。その間は若手(ドライバー)に頑張ってもらう作戦です」と語ってくれた。
そのパドックで目立ったのは数々のキャンピングカー。
ピットに面した、チームスイートとチームスイートの間は、普段のレースではトランポのための駐車スペースとなっているが、今回はここにキャンピングカーが陣取っていたのが印象的だった。コントロールタイヤを供給する「ピレリ」のサービスエリアでは、前回のレポートで紹介したように大型バスを使ってスタッフの休憩・仮眠用のエリアとしていたが、オフィシャル用としても数々の配慮がなされていた。
例えば、時間を計測する”計時”や技術のオフィシャル用には、ピットビル2階に休憩仮眠室を設置。コースオフィシャル用には各ポスト脇にミニバンが配置され、そこで交替で休憩仮眠する態勢が採られていた。
もちろん富士の観客だって24時間レースを楽しむ術を知っていたようで、海外のル・マンやニュル24時間のようにコースサイドにテントを立てて観戦するファンが多かった。
普段のレースでも土曜の夜はテントで楽しむコアなファンが見受けられるが、今回は、レーシングカーが夜を徹して走り続ける。ということで、普段とはひと味もふた味も違ったテント泊となったはず。というのも、「富士スピードウェイ」ではテントによる観戦を推奨。ダンロップコーナーのインフィールド部分に”テント村”を設けたほどだ。手ぶらで来た観客は、テント泊を楽しんだ後、テントもお持ち帰りできるプランで、なかなかの好評ぶりだった。
ちなみに「富士スピードウェイ」では、10月のWEC(FIA世界耐久選手権 第4戦 富士6時間耐久レース)の開催に合わせて『キャンプジャパン』を企画。キャンピングカーでサーキットパレードランなどのコンテンツも計画中だという。
詳しくは公式HPを参照して欲しい。
久々の開催となった24時間レースは、”家族や彼女も楽しめる”これまでにないレースの楽しみ方を提案することになったり、欧米にも負けないモータースポーツ文化が根付いてきたように感じられた。
(レポート:原田 了)