CVTフルードの全量交換が基本、
シビアなオイル管理が必要だった
「CVTのメンテナンス」に関しては不要、と思いがちなスバルの現行モデル。基本的にはその考え方で間違いはないのだが、気持ち良く乗りたいならば「油脂類」は定期的に交換しておきたいところだ。なかでも『リニアトロニックCVT』を末長く快適に乗っていくためのメンテナンス。じつは非常にシビアであり、スバル車を知り尽くしたプロフェッショナルショップでなければ、ときとしてトラブルを誘発することも。そんなプロの技をもつスバル車の名医「プローバ」に聞いてみた。
CVTはメンテナンス不要というが……
スバルの『リニアトロニックCVT』は、5代目レガシィ(BM/BR)のNAモデルに初採用されて以来、順次拡大採用されてきたことで、MT車を除く現行スバル車のほとんどが搭載するトランスミッションとなった。
スバル独自の”チェーン式縦置き”トランスミッションは、トルク400N・mにも対応できるポテンシャルを持つため、リニアトロニック搭載車でサーキット走行といったハードな走りを楽しむユーザーが増えているという。
しかし、メーカーの取扱説明書によれば、CVTフルードはノーメンテナンス(無交換)と記載。とはいえ、過走行気味やマニュアルモードを多用するユーザーは、走行距離を重ねるごとに新車時との違和感を覚える人もいるようだ。
また、従来のATFのようにどこでも簡単にフルードの交換ができるわけではない。ノウハウのないお店での交換工賃がリーズナブルなケースが多いが、実際にミッションの不調などトラブルが発生することも。作業を依頼するならば、スバル車を知り尽くしたショップでの作業を推奨したい。
ちなみに、「プローバ」が行なうCVTフルード交換は、”圧送式”というチェンジャーを使用。ミッション内部のフルードを全量交換するものだが、”せっかくの交換ならば全量交換しておきたい”と、「プローバ」の佐藤さんは語る。では、どのような作業を行なっているのだろうか。
CHECK! 【過走行車でも交換可能!?】
圧送式トルコンチェンジャー、その名も「トルコン太郎」を使ってCVTフルードを全量交換。従来のレベルゲージやドレンボルトからフルードを抜き取り、抜いた分を補充していく循環式と異なり、高い新油交換率が特徴だ。
使用するフルードは『レヴォーグ』の2リットルモデルや、『WRX S4』が搭載する大容量リニアトロニックにも対応。600psのDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)にも対応できるクオリティということもあり、ポテンシャルでの安心感も高い。
もちろん1.6リットルモデルのCVTでも変速ショックが減るなど一般的なユーザーでもメリットが多い。交換サイクルに関しては距離や使用年数、乗り方などによってまちまちなので、クルマの情報をしっかりヒアリングしてくれるお店での交換が重要だ。
CHECK! 【交換状況がフルードの色でわかる!】
チェンジャーには、新油と廃油の汚れ具合がひと目でわかるモニターが付く。圧送交換が完了すると自動的にオイルラインを洗浄するクリーニングモードとなり、オイルラインの目詰まりなどを防止する。
CHECK! 【たった2万kmの汚れがコレ】
作業した車両の走行距離は10万kmを超えているが、じつは8万kmでCVTフルードを交換。つまり2万kmを走行したわけだが、フルードは真っ黒。定期的な交換が改めて重要であることを実感させられる。
【交換後インプレッション】
今回、CVTフルードを交換したレヴォーグは、走行距離がすでに10万kmを突破している。だが、8万kmで純正フルードに交換していたこともあり、正直効果が体感できるかが不安であった。
ところが、アクセルを踏み込んだ時のフィーリングの違いに驚愕。とくにSI-DRIVEの「S#」をセレクトした場合や、マニュアルモードで変速した際のレスポンスの速さは大きく体感できた。
走行距離を重ねるとギクシャク感が少しずつ顔をのぞかせるリニアトロニックCVTだが、フルードの交換でその弱点は軽減された。
走行距離や売却のタイミングなどによっては、無理に交換する必要はない。しかし、フィーリングのプラスαを期待したいならば、プロに相談する価値はあるのかもしれない。
ブレーキシステムキットが発売へ
電動パーキングブレーキを備えるレヴォーグやS4のリアブレーキは容量アップが難しい。というのも、パーキングブレーキ機能がキャリパーと一体化されたため、WRX STI用のブレンボ流用などが不可能なのだ。
そこで、手軽にリアブレーキの性能向上をしてくれる『R.ブレーキシステムキット』。スリット入り2ピース大径ローターと専用パッドをセットにし、純正キャリパーのまま性能アップを実現できる。フロントブレーキを強化しているユーザーにおススメ。
プローバ TEL045-591-5501
http://www.prova.co.jp/index.html
1980年に創立したプローバはモータースポーツの世界で培ったノウハウと実走テストの繰り返しにより品質と性能が裏付けられたパーツだけをリリースする信頼と実績のショップ。
スバル車に携わる歴史は40年近くにおよび、2005年のニュルブルクリンク24時間レース参戦車両のインプレッサWRX STIは現在のSTI NBRチャレンジの源流としても知られる。
(リポート:スバルマガジン編集部)