熟練ならではの華麗なるテクニックで
現代風にカスタマイズしたE30 BMW
BMWの3シリーズ(E30)にビス打ち式のブリスターフェンダーを纏い、コンパクトロケットを地で行くアルミニウムカラーのネオクラシック。
その佇まいには、乗り手のマニアックな心意気がジワリ、漂う。
輸入車乗りのためのカスタムイベント「impスーパーカーニバル2018」に参加したBMW320i 。
このクルマのもとには、ひっきりなしに仲間が駆け寄ってきて、声をかけていく。思えばイベント中もこの旧式のBMWのまわりにはずっと人が集まっていて、その中心にオーナーの人懐こい笑顔があった。
フロントガラス、Tシャツに踊る『Lowcul.』の文字。これは、オーナーが主宰するカスタムコミュニティの名称で、関東圏のフリークはもちろん、今や海外、免許取得前の中高生にまでシンパを抱えるビッグパーティーに成長中だ。オーナーご自身は初参戦だけれど、Lowcul.軍団は確実にウェーブとなっていたし、その勢いは大いに注目を集めた。
内装はドリンクホルダーにVWゴルフ用を流用、ステアリングは2スポークの「NRG」。無骨な空間の中、とくに花柄を選んでハワイ好きをアピールしている。そしてカーペットを外して、5点式ロールケージを組み込み、シートは「USコルビュー」のフルバケット。チープな質感を求めて、あえてビニールレザーモデルを選んだあたりがとても面白い。
オーナーは以前にヒュンダイ・ジェネシスクーペを引っ提げて、スポコンからUSDM、スタンスへと繋がるカスタムカルチャーを体現し、シーンで話題をさらってきた人物。
今回のE30の導入には”2ドアの四角いボディに丸目4灯というスタイルに昔から憧れていて”と、激しく同意せずにはいられない、50歳手前のオッサンらしい理由がある。しかも、その仕様がいきなり「パンデム」のブリスターフェンダーとくれば、仲間内が盛り上がるのも無理はない。
本当はノーマルの個体を探して、最終的にパンデム装着に持って行くプランを練っていたそうだが、偶然にもフェンダー付きで売り出されている個体を見つけて購入。これをベースに各部USパーツへの換装、内装の作り込みなど、趣味のいいアップデートが見て取れる。
前後フェンダーを広い範囲で覆い、プレスラインやモールの意匠と連携しながらたっぷりと張り出す「パンデム」のブリスターキット。 ホイールは「iForce」の15インチを前後ともマイナスインセットで組み込み、激深ぶりを見せつける。ピアスボルトはあえて裏留めし、BMWオーナメントを加工して取り付けるなど、オンリーワンな仕掛けも潜む。
また、専用ステーにインスペクションやリーコンステッカーを貼り込んだハワイな小技にも注目したいところだ。
また、直付けのステーに支持され、鋭く立ち上がったダックテールもパンデム仕様の特長だ。
マフラーはテールエンドを若干広げたツインスタイルでワンオフを装着。 USリアサイドマーカーはスモークで合わせ、本場のユーロカスタム感を演出した。装着しつつ存在感を消すというややこしいアレンジだが、こういうリアリティの求め方こそが楽しい。
フェイスまわりは、USグリル×USヘッドライトに換装し、メッキ部分はブラックアウト。スパルタンな装いと程よく力の抜けたUSアレンジとの調和ぶりが絶妙な1台であった。
そして、この機会に書いておきたいのが、オーナーが考えるユーザーズミーティングの在り方。彼が代表を務める「Lowcul.」では、交流の場として”Be quiet MEETING(BQM)”を開催しているが、名のとおり”静かに佇むこと”を意味しており、排気音を威張るような挙動や不用意な音出し、タバコのポイ捨てといった迷惑行為を一切行なわないよう、強く呼びかけているのだという。
つまりは、当たり前のマナーを守って、自分たちの居場所がなくならないようにしようと”小うるさいオッサンの役”を自ら買って出ているというわけだ。そういった活動方針への共感が大前提にあるから、「Lowcul.」には和気あいあいと盛り上がりながらも、どこか大人の分別を感じさせるグルーヴが漂っているのだろう。
ちなみに、ゆくゆくはオールペンやエンジンチューンまでやりたいとのこと。E30カスタムのクライマックスは、まだ先に待っていそうだ。
SPEC
▶インテリア:NRGステアリング/E36 M3用シフトノブ/コルビュー・フォルツァスポーツ/グッドイヤー・フロアマット/カラーシートベルト/5点式ロールケージ/VWゴルフ用ドリンクホルダー加工/USメーター/カーペットレス
▶ホイール:アイフォース(F:8.5×15・ET-5 R:9.5×15・ET-6)
▶TOYO・R888(F:205/50 R:225/50)
▶足回り:OSAKA JDM
▶ブレーキ:ディクセル
▶マフラー:ワンオフ
▶その他:自作アンダーガード/デフロック
(リポート:オートファッションimp編集部)