自動車に関わる税金の種類は9種類、
車齢13年以上は本来の2.3倍という負担に
クルマには下表の取得、保有、使用の段階で多くの税が課せられている。
しかも、自動車重量税やガソリン税には、当分の間の措置として、本来の税率(本則税率)に上乗せされた税率が課されたままだ。
まずは、2017年度現在の自動車税制(エコカー減税等適用外)について見てみよう。
段階 | 税目 | 国/地方税 | 税の使途 | 税率 |
取得・購入 | 自動車取得税 | 地方税 | 道路整備の特定財源→一般財源化された | 3% |
取得・購入 | 国税・地方税 | 国税・地方税 | 一般財源 | 8% |
保有 | 自動車重量税 | 国税 | 道路整備の特定財源→一般財源化された | 4,100円/0.5t/年 (車齢13年超で5,700円/車齢18年超で6,300円) |
保有 | 自動車税 | 地方税 | 一般財源 | 29,500円〜111,000円(排気量で変わる) |
保有 | 軽自動車税 | 地方税 | 一般財源 | 10,800円/年 |
使用・走行 | ガソリン税 | 国税 | 道路整備の特定財源→一般財源化された | 53.8円/ℓ |
使用・走行 | 軽油引取税 | 地方税 | 道路整備の特定財源→一般財源化された | 32.1円/ℓ |
使用・走行 | 石油ガス税 | 国税 | 道路整備の特定財源→一般財源化された | 17.5円/kg |
使用・走行 | 消費税 | 国税・地方税 | 一般財源 | 8% |
このように、クルマにはなんと9種類の税金が存在する。
そして「自動車取得税」、「重量税」、「ガソリン税」などは、もともと道路整備等の支出に充てられていた特定財源だったが、現在は廃止。税収の使途に限定がなく、国や地方公共団体の裁量で自由に使える「一般財源」になっているものが多い。
しかも、日本では自動車の取得段階で「消費税」や「自動車取得税」が課せられ、さらに保有段階においては、「自動車税(軽自動車は軽自動車税)」と「自動車重量税」が課税されている。
じつに、車体課税の負担は欧米諸国に比べて2.6〜34.4倍(消費税除く)。そもそも欧米には、自家用車に自動車重量税と同種の税金を課している国は存在しないそうだ。
ちなみに、自動車取得税は2016年度の与党税制改正大綱を踏まえて法律が改正される。消費税が8%から10%に引き上げとなる2019年10月1日より、「自動車取得税」を廃止するとされているのだ。同時に、保有に対する税である「自動車税」と「軽自動車税」へ、新たに「環境性能割」の制度を付加。自動車取得時に環境性能(燃費基準値の達成度)に応じて、価格の0~3%を課税することになっている。
これらを踏まえて、自動車税制に関するアンケートを「JAF(一般社団法人日本自動車連盟)」が実施。
例えば、1,800cc(車重1.5トン以下)の車両を保有し、年間ガソリンの使用量が1,000リットル(リッター130円)だった場合。自動車税、重量税、ガソリン税、消費税でかかる年間の税金は115,200円となるが、これらの税金に”負担と感じている”割合は全体の98%を占めた(2017年度調査)。
そして、ここからが本題。
自動車にまつわる税金には、”国の財政が厳しい”という理由で本来を上回る税率が「当分の間の税率」として、上乗せされたままのものがある。
ガソリン税(本来の税率に比べ1.9倍)もひとつだが、「自動車重量税」も然りだ。本来であれば、年間0.5tあたり2,500円だったのが、1.6倍の4,100円に。さらに、車齢13年超ならば5,700円、18年を越えると6,300円となり、それぞれ本来の2.3倍〜2.5倍もの負担を強いられている。
同じく、JAFのアンケートでは「旧暫定税率が上乗せされたままであること」に対して、9割以上が反対しているわけで、”国の財政が厳しいという理由だけでは納得できない”、”税率が恒久的になるのでは”という意見がある。しかし、”財政が厳しいので仕方ない”、”税率を上げることで環境負荷が軽減される”という理解の声もあるものの、車齢13年以上の所有者に対してさらに重い税率がかかっている事には、どうしても腑に落ちない。
諸外国に比べて自動車にかかる税負担が多いうえ、その使途もいまいち不明。
さらに、単に車齢が古いというだけで自動車税や重量税を上げる……。まるで、1台のクルマを長い間乗ることがいけないような、そんな気がしてならない。
しかも、田舎暮らしや高齢者にとっては必需品。そう簡単に乗り換えられるワケでもないはずだ。
確かに自動車は”贅沢品”なのかもしれない。新車の需要が増えることで経済に活気が出ることもわかる。
しかし、大切にしてきた愛車を泣く泣く手放せばならない人が増え、これらの名車たちを所有する事が厳しくなったいま、一部は外国に輸出されていく始末。希少性が高まって中古車相場が高騰し、簡単には取り戻せないクルマも増えている。
昨今、言われ続けている”若者の車離れ”も然り。このままでは所有することの魅力は薄れ、クルマ自体の購入を躊躇する人が増えてくるかもしれない。
負担だけでなく、複雑すぎるクルマの税金。いまこそ、日本に見合った法整備を行なうべきではないだろうか。
(レポート:ちんサブ)