自動車メーカー各社からリリースされる
便利で使い勝手に優れた福祉車両たち
超高齢社会の日本において、ますます需要が高まっているのが個人の家庭向きの福祉車両です。
以前は、福祉車両といえば介助のプロが使う特殊なクルマというイメージがありましたが、昨今は自動車メーカー各社から、家族や生活の全体をサポートしてくれる便利な車両が多く発売されているので紹介しましょう。
デートにも活躍!? 「エスコート上手」な回転シート
高齢の方や、障害をお持ちの方に限らず、すべての人を上手にエスコートしてくれるのが、座席が回転して乗り降りの負担を軽減してくれるタイプの車両です。
もちろんメインは足元に不安のある方の乗りやすさや、車いすからの移乗のしやすさですが、それ以外の人にもこれが意外に便利! 例えば女性にはお分かりかと思うのですが、タイトスカートや着物を着てクルマの乗り降りをするのは結構難儀です。男性でも手にモノを持っていたりすれば、背の高いクルマの乗り降りに苦労することもありますよね。
シートを開口部方向に向けられることで腰掛けやすくなる機能は、ある意味、誰しも便利さを享受できるものなのではないでしょうか。
重たい電動アシスト付き自転車もラクラク〜
車いすに乗ったまま乗降できるスロープ付きのタイプには、昨今、軽自動車のラインアップが増え、導入しやすい福祉車両として人気を博しています。
手動でさっと出せるスロープがあるのは、車いすを載せない場合にも頼もしい存在。例えば、子育て家庭御用達の電動アシスト付き自転車。乗るのはラクですが、車体は重いので、スロープ付きならば簡単にクルマに載せることができます。
福祉車両がお出かけ上手な「広々カーゴルーム」に
車いす仕様の福祉車両は、車いすを載せない時には荷物をたくさん積めるのもうれしいところ。
スロープを折りたたんだ状態なら、高さもあるカーゴルームとしてスペースを使えるのが一般的なので、ガッツリお買い物をしたい日や、釣りなど荷物の大きい趣味を楽しむ日にも便利ですよ。
アウトドアにも便利!! 「キャンプ・車中泊」ができる
最近の福祉車両は、通院や介護施設への送迎などだけではなく、楽しい旅行やお出かけを気軽なものにしてくれるクルマが増加中。例えば、日産・セレナの「チェアキャブスロープタイプ」などは、ケアのためにフルフラットにできるシートが搭載されています(フラット状態でも走行は不可)。
介助が必要なご家族とのドライブはもちろん、普段のちょっとした休憩や、お出かけ時のベースキャンプとしても便利に使えそうな機能ですよ。また、福祉車両架装を手がけている企業には、キャンピングカービルダーも多く見られます。
ビルダーは、クルマの中で人がくつろぐこと、重量のあるものを積むこと、電源や空調などを設置することなどに知見が深いので、介助される人の快適さ、介助する人の使い勝手の良さに加え、クルマ旅の楽しみまで、すべて盛り込んだ架装を相談することもできます。
家族みんなのお出かけをさらに楽しくするクルマとして導入するのもいいかもしれませんね!
すべての人が「クルマを楽しむ」ことができる時代へ
クルマの楽しみを味わうことが、福祉車両を導入することと矛盾しなくなってきているのも昨今の潮流です。
メーカーからは、スバル・レガシィアウトバックや、マツダ・CX-5、日産・エクストレイルといったクルマをはじめ、スポーティな走りを楽しめるクルマ、個性派のSUVなどの福祉車両も展開されています。また、専門業者による「カーアダプテーション(自家用車に福祉車両に改造)」も盛んになってきているので、スポーツカーなどを手動運転に切り替えて、障がいのある方がご自身で運転できるようにすることも可能なのです。
多くのご家庭が介護への不安を抱えている日本の社会。誰もがいつか高齢者になり、また誰もがケガや病気をする可能性があります。
家庭のクルマとして十分に魅力的で、さらに便利な機能がたくさん付いている福祉車両は、介助の面だけでなく家族全員にとって便利な1台として、今後さらに現実的な選択肢となっていくのではないでしょうか。
(レポート:広田ボコ)