大幅に信頼性が向上したローダウン用パーツ
意外にも構造はシンプルなものだった
ボタンひとつでパッと車高を上げ下げできる「エアサス(エアーサスペンション)」といえば、ドレスアップ・ユーザーが憧れるアイテムのひとつ。
とはいえ、費用や信頼性の問題などを持つ人も多いと思う。実はここ数年で「エアサス」は急激に進化しており、そんな心配事が大きく改善されているのだ。というわけで、2回に渡って「エアサス」の基礎知識を紹介。前編は”エアサスの仕組みと進化”について見ていこう。
エアバッグを膨らませて車高をアップ!
車高を上下させるのは、エアバッグと呼ばれるパーツ。空気を入れれば膨らみ、抜くと車体の重みでそのまま縮む構造で、これをサスペンション部分に取り付けることで車高の上下動を可能にしている。
また、エアバッグを膨らませるための圧縮空気を作っているのがコンプレッサー。圧縮した空気をタンクに溜めておき、必要なときにエアバッグに送り込む仕組みだ。この空気を制御するのが、電磁弁やパドルスイッチである。
基本的な構成は、エアバッグ付ダンパー、コンプレッサー、エアタンク、電磁弁(機械式のパドルスイッチも存在)、ホース、電子式制御ユニット(電磁弁式のみ)など。
コンプレッサーを2基掛けしたり、エアタンクの容量を増やすことで、上下動のパワーやスピードに余裕を持たせることも可能。10年ほど前から各パーツの精度は大幅に向上している。それが、現代のエアサスなのだ。
エアバッグ部以外は車高調と同じレイアウト
下の写真はトヨタ・C-HRのフロント用。通常スプリング(金属バネ)が装着される部分にエアバッグが装備されているのがわかる。
ストラット式のサスペンションの場合、多くはこの構造が一般的。ダンパーには車高調と同じ仕組みの調整機能が付き、ここで基準の車高を決めるのだ。
下の写真はエアバッグに空気を入れた状態と、抜いた状態。エアバッグのストローク分で車高を調整することができる。空気圧を調整して膨らみ具合を変化させることで、好みの乗り味や車高にすることも可能。
さらにエアバッグの膨らみ具合は、金属製のスプリングでいうバネレートに相当する。つまり、空気をたくさん充填して膨らませれば(空気圧を高める)、バネレートが高まったのと同じになり乗り心地も硬くなるわけだ。
内部のパーツはこんなに進化
近年大幅に進化を遂げているエアサスの部品が電磁弁である。
一体型で4〜8個の電磁弁を内包したモデルもあり、複数の弁を接続する必要が無いため、エア漏れの心配が少なくなるというわけだ。
従来型はスイッチ部分まで配管が引かれ、直接エアの流れをコントロールする仕組み。対してデジタル制御モデルでは、ECUを介して電磁弁をリモコンで操作することが可能となっている。
次回の「エアサスの基礎知識」は、乗り心地、取り付け、工賃、メンテナンスなど、エアサスに関する気になることについてお伝えしたい。
(レポート:WAGONIST編集部)