最後はレクサスSCとして絶版
最高に贅沢なオープンモデル
現在販売されているレクサスLC。レクサスのフラッグシップクーペは、つい目で追いかけてしまうカッコよさがある、と個人的には思っています。
フォルムもそうですが、動的に、たたずまいとして、単にキャビンを包み込む車体のスタイル成型という以上の価値をデザインが持っているのではないか、と思うのです。国産車でもこういうクルマが出たか、そんな風に感じたものです。そして、車体は軽く1000万円オーバー。「価格もついにそこまで」という感想を持ったことは言うまでもありません。
ただ一点、明らかに残念な点。それは、いまだにオープンモデルが用意されていないこと。
自動車にとって、オープンカーは必要か不要か、好きか嫌いかによらず「最高に贅沢な車型」だと思うのです。クルマはもともと屋根などありませんでした。それが屋根の付いたクルマができて雨風を防ぐことができ、移動手段としての利便性を格段に向上させます。その自動車の屋根を、あえて再び取り払ってしまった。機能的な理由よりも、精神的趣味的な選択肢の一つとしての理由の方が圧倒的に大きいのです。
こうした選択肢を与えたことでも、クルマがある種の象徴的価値を有するものだという証拠のようなもの。そんな風に言うこともできるかもしれません。
ですので、海外の多くの高級車メーカーは、フラッグシップモデルに屋根の開く流麗な2ドアモデルを用意しています。そう考えると、”レクサスLC=トヨタ(レクサス)の最高級クーペ”である以上、日本を代表するクーペと思うのです。そんなクルマにオープンが存在しないことは、残念でたまりません。
ちなみに日本を代表するクーペをGT-RやNSXという読者がいるかもしれません。
高額ではありますが、海外の名だたるフラッグシップクーペの中で比肩させた場合、いささか話題がパフォーマンスに集中しすぎており、フラッグシップクーペとしてのキャラクターという点ではそもそも車種の持つ性格的に不十分であると思うのです。
そんなわけで、100万円代で買える激アツな準旧車として取り上げたいのが、「トヨタ・ソアラ(レクサスSC430)」。
セルシオ/レクサスLSと同じ4.3リッターV8エンジンを採用。リトラクタブルルーフを持つ4代目は、長らくトヨタのイメージリーダーにして、新技術のデパートのような存在を担ってきました。そして、日本でのレクサスブランド展開のスタートに合わせて、ソアラとしての販売を中止。”レクサスSC”としてレクサス店での販売にシフトしました。
それまでオプションだった『マークレビンソン』のプレミアムサウンドシステムの標準装備化。あとはエンブレムと格段に増えたカラーコーディネーションなどが主な変更点でしたが、価格上昇分も内容を考えると妥当であり、さらなる高級クーペとして的を射たと思います。
この4代目ソアラ。もともと販売台数が多くないこともあり、大きな値崩れはなし。
過走行を探せば安い個体もありますが。相応の距離や状態の上質車は、今のうちの買っておかないと今後手に入れることが難しくなるのではないか。そんな気がしています。
エンジンの選択肢は一機種のみ、基本的に1グレード展開だったこともあまり手広くしないラインナップにもある種の節度を感じています。外装は明るいメタリック系カラーで、内装も明るめがオススメ。
日本を代表する高級車ブランドのオープンモデル、かつてはあったのに今はない。
そんなことで何か恋しくなる屋根の開くクーペSC430とその前身、日本におけるトヨタ・ソアラ。Z40型もぜひ早いうちに乗っておきたい。そんな一台です。
(レポート:中込健太郎)