「ジュリア」と変わらない低重心感
SUVを感じさせない洗練の走りだった
「アルファロメオ」というと、輸入車の中でもコダワリのブランド……、そんなイメージが強い。
ざっくりと、1960~1970年代の名車を愛でるディープなマニアか、155以降あたりの近年のFFモデルを颯爽と乗りこなして楽しんでいるのがオーナー像といったところか。
ところで100年を超える歴史のある「アルファロメオ」は、ここにきてブランドイメージを一新させてきた。その方向性はスポーツイメージをいっそう推し進め、同時に高級化路線も打ち出すというもの。
その第1弾がセダンの『ジュリア』。そして第2弾となるのが、今回試乗したアルファロメオ初となる本格SUV『ステルヴィオ』だ。
2017年に登場した新セダン『ジュリア』は、FR(後輪駆動)のまったく新しいプラットフォームを採用。50:50の前後重量配分を始め、新時代のアルファロメオを象徴する走り、スタイルで注目を集めている。
そのジュリアをベースに仕立てられたのが『ステルヴィオ』だ。
遠く遡ればミリタリーユースの”AR51″などあったが、現代的な本格SUVとしては、もちろんアルファロメオにとって史上初。
セダンのジュリアに続き、このステルヴィオ・クワドリフォリオ(シリーズ最高峰モデル)が、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースで量産SUV最速タイムを叩き出すなどしており、ひとえにカーボンプロペラシャフト、アルミ製サスペンションといった、ジュリア同等の軽量設計と高いスポーツ性能が証明されたもの……そういっていい。
ファーストモデルは2リットル直4ターボ
8速オートマチックに4WDシステム搭載
今回の試乗車は“ファースト・エディション”と銘打った導入第1弾のモデル。
400台限定で、専用20インチアルミホイール、赤色塗装のブレーキキャリパーなどを装備。価格は税込み689万円となっている。駆動方式は4WDで、搭載エンジンは280ps/40.8kgmの性能を発揮する4気筒の2リットルターボで、8速ATとの組み合わせだ。
走らせた第一印象は「なるほど、スポーティだね」というもの。街中でシュッ!と引き締まった乗り味なのはジュリアと共通だが、驚いたのはワインディングでもロールが抑えられ、まるでセダンのジュリアと変わらない安定感、低重心感が味わえる点。
しかも、いかにもハードな足で頑張っています的なところがなく、涼しい顔のままサラリと屈曲路をこなしてしまうのは、いかにもアルファロメオらしい。1810kgの車重をまったく意識させない軽やかさ、しなやかさがいい。
エンジン性能も同様で“dnaスイッチ”でモードを選べば、パンチを効かせた加減速(と、より応答性が高まるステアリングフィール)も味わえる。動力性能も不満はない。
座るとピタッと身体を受け止めてくれるシートも、クルマとの一体感を実感させてくれ、SUVであることを忘れさせる。シルバーの加飾の使い方が控えめながら上質なインテリア、クリアでしっとりとした音質で鳴るハーマンカードンのオーディオなど、もてなしのレベルも十分。ライバル車は決して少なくない中で、エレガントに溌剌とした走りを堪能させてくれる、大人のSUVだ。
モデル名 | STELVIO FIRST EDITION | |
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型式 | ABA-94920 | |
ハンドル位置 | 右 | |
全長(mm) | 4,690 | |
全幅(mm) | 1,905 | |
全高(mm) | 1,680 | |
ホイールベース(mm) | 2,820 | |
トレッド 前/後(mm) | 1,610 / 1,650 | |
車両重量(kg) | 1,810 | |
乗車定員(名) | 5 | |
エンジン型式 | 55273835 | |
エンジン種類 | 直列4気筒 マルチエア 16バルブ インタークーラー付ツインスクロールターボ |
|
総排気量(cc) | 1,995 | |
ボア × ストローク(mm) | 84.0 x 90.0 | |
圧縮比 | 10.0 | |
最高出力〈kW(ps)/rpm〉[ECE] | 206 (280) / 5,250 | |
最大トルク〈Nm(kgm)/rpm〉[ECE] | 400 (40.8) / 2,250 | |
燃料供給装置 | 直接噴射式 電子制御燃料噴射 | |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン | |
燃料タンク容量(ℓ) | 64 | |
ラゲッジルーム容量(ℓ) | 525 | |
クラッチ形式 | 3要素1段2相形 | |
駆動方式 | 4輪駆動 | |
トランスミッション形式 | 電子制御式8速オートマチック | |
変速比 | 1速 | 5.000 |
2速 | 3.200 | |
3速 | 2.143 | |
4速 | 1.720 | |
5速 | 1.314 | |
6速 | 1.000 | |
7速 | 0.822 | |
8速 | 0.640 | |
後退 | 3.456 | |
最終減速比 | 前 | 3.730 |
後 | 3.730 | |
ステアリング形式 | ラック&ピニオン(電動パワーアシスト付) | |
サスペンション | 前 | ダブルウィッシュボーン(スタビライザー付) |
後 | マルチリンク(スタビライザー付) | |
主ブレーキ | 前 | ベンチレーテッドディスク |
後 | ベンチレーテッドディスク | |
タイヤサイズ(前後) | 255 / 45R20 | |
最小回転半径(m) | 6.0 | |
燃料消費率*1 ※国土交通省審査値 (km/ℓ) |
11.8 *1 | |
CO2排出量 [JC08モード燃費換算値](g/km) | 197 |
レポート:島崎七生人
一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。興味の対象はデザイン、カーAVを始め、クルマ周辺の生活スタイル、モノなども。