1ピース/2ピース/3ピースの違いは?
車種によって”似合う構造”は異なることも
ホイールは言うまでもなく、クルマをスタイルアップするうえで必須のアイテム。
ここでキーワードとなるのが、純正よりも口径を大きくする「インチアップ」なのだが、サイズ選びとあわせて注目しておきたいポイントとなるのが「ホイールの構造」だ。
この「ホイールの構造」だが、社外品では3パターンある。デザインの核となるディスクとその外周とあるリムを一体化したものが”1ピース構造”(左)。これは純正ホイールでも採用されている構造だ。
ディスクとリムを別々に成形したのが”2ピース構造”(中)。そして、リムがディスクを中心に、外側にあるアウターリムと、内側のインナーリムで構成されている”3ピース構造”(右)だ。
ここからが本題。
じつは、ホイール構造による違いはそれぞれに特徴があり、さらに装着時の印象も大きく変わる。
そこで、これらの違いを「カープラザワールド・久ヶ原店」に話を聞いてみた。
【1ピース構造】
手頃な価格帯でインチアップ効果が大きい
前述のように「1ピース構造」は、ディスクとリムを一体成形したもの。純正と構造は同じでもアフターメーカー品は、やはりデザイン性が魅力だ。
では、履いた時の印象はどうなのか。メリットとあわせて聞いてみると「1ピースホイールは一体成形となるため、精度が高くて剛性を確保しやすい。また、製造工程が省けるために価格帯がリーズナブル。種類も豊富なので、ビギナーや初めてインチアップする人にオススメですね」とは、店長の矢吹隆次サン。
というわけで、装着イメージについてトヨタ・ヴェルファイアで実証。
サンプルは、Weds(ウェッズ)の『クレンツェ・ウィーバル100EVO』だ。手工芸品のような繊細なデザインと、複雑な工程によって生まれた”SBCポリッシュ”とを組み合わせた、高いドレスアップ性を誇る1本は、装着車両のようなスタイリッシュなエアロパーツ(アドミレイション)と組み合わせても格負けする心配もなし。ミニバンやSUVに最適な18〜22インチを設定中。今回は22インチを装着してみた。
「1ピースはデザインの核となるフェイス面が手前に来るので、大きさが引き立ちやすい。見てわかるように、外周のリムフランジまで伸びるスポークによって実寸(インチ)以上に大きく見えるのが、1ピース構造の特徴ですね。この『ウィーバル100EVO』は、リムよりも高い位置からスポークがセンターに向かってダイナミックな曲線を描くため、視覚的に1インチ以上も大きく見せられることができます。他のモデルと比べて”デザインの深み”がちがう。モデル選びも重要ですよ」。
では、この1ピース構造。どんなクルマにオススメなのだろうか。
「リム幅の太いホイールを履くことができないクルマですね。すなわち、ミドルサイズのミニバンやコンパクトカーといったジャンルですが、リムが別体となる2ピースや3ピースではリムが浅くなってしまい、そのメリットを享受することができません。よってリムの深さではなく、”口径の大きさ”や”ディスクの存在感”を主張する見せ方が似合うと思いますよ」。
□装着サンプル:クレンツェ・ウィーバル100EVO(FR22×9.0J・インセット35)
【2ピース構造と3ピース構造】
愛車にあわせたベストサイズと圧倒的な高級感が得られる
次は、2&3ピースの場合。
ともに最たる美点といえるのが、やはりディスクとは別体となる「リムの存在」だろう。外周にメリハリを効かせたその様は、純正ホイールには表現不可能な存在感と高級感がある。では、これら”マルチピース”とも呼ばれる2&3ピース構造には、どんなメリットや特徴があるのだろう。履いた時の印象を含めて聞いてみた。
「まず、リムとディスクで構成される2ピースホイールですが、最大の特徴はディスク部分を単体で加工できるために1mm単位でインセットが設定できること。ウェッズさんのホイール・シリーズで言うならば『マーベリック』ですが、ツライチといった履かせ方や、スタイルや車両に合わせたベストなサイズセッティングが可能になります」と矢吹店長。
「また、リムがインナーとアウターに別れており、ディスク部とピアスボルトで固定される3ピースは、まさにホイールの王様。カスタムユーザーにとっては憧れの存在ですね。今回の装着サンプルである『クレンツェ・ウィーバル』のように、3ピース構造ならでは高級感やステータス性を実現できます」という。
では、履いた時のイメージは1ピースとどう違うのか。先ほどのヴェルファイアに同サイズの22インチを装着してみた。
「ディスク、リム、ピアスボルトの異なる素材感と言いますか、構成するパーツのひとつひとつにメリハリが効いているのがわかりますよね。見た目の大径感ならば1ピースが勝りますが、リムの存在によるオーラや特別感があります。ディスクのデザインだけでなく、”リム”もアイキャッチになる。アルファード&ヴェルファイアといった大型のミニバンや、セダン、スポーツカー、輸入車など、太めのホイールサイズが履ける車種にオススメ(リムの存在感を主張しやすい)。足元を極めたいという人に履いて欲しいですね」。
他にも、ウェッズ製のホイールのように”リムやピアスボルトのカラーアレンジ”が可能なこともメリット(ピアスボルトは3ピースのみ)。また、「クレンツェ」の3ピースシリーズでは、リムの補修サービスを可能とするなど、アフターサービスをチェックしておくのも賢明と言えるだろう。
□装着サンプル:クレンツェ・ウィーバル(FR22×9.0J・インセット32)
改めて下写真を見比べてみると、1ピースホイール(左)とマルチピースホイール(右)では見た目の印象は異なるものの、どちらがいいのかは優越つけがたい。
履かせるクルマ、予算、装着した時のイメージなどを考慮し、貴方に見合った1本を見つけて欲しい。
取材協力:カープラザワールド・久が原店
TEL:03-5700-7742
住所:東京都大田区久が原5-28-5
40年近い実績を持つタイヤ&ホイールのスペシャリスト。足回りやエアロパーツといったカスタム全般にも力を入れており、国産車を中心に数多くのリピーターを抱える名店。
矢吹隆次 店長(カープラザワールド・久が原店)
(撮影レポート:Auto Messe Web編集部)