潤いが必要なのは人の肌と同じ
仕上げは専用トリートメントで
風合いがよく、肌触りもいい。そして高級感もある本革シート。
撥水性や摩擦にも強く、耐久性にも定評がある。とくに、クルマのインテリアに使うモービル用の高級本革は、革の銀面に樹脂コーティングを施し、高温多湿、紫外線、etc.に耐えるようになっているのでとってもタフ。
しかし、間違ったメンテナンスを施すと、あっという間に劣化させてしまうという。
一般的な布シートなら、叩いたり掃除機をかけるなどしてホコリやゴミを取り除くことができる。ひどい汚れには専用のクリーナーというケースもある。
それに比べると本革シートに施されているコーティングが元気なうちは、固く絞った濡れタオルで、軽く拭いて、汗やホコリ、汚れを取るだけでメンテナンスはOKととても手軽だ。
しかし、ある程度年季の入ってきた本革シートは、どのような手入れがベストなのだろうか。
本革シートと本革ステアリングの張り替えの第一人者「ロブソンレザー」の中村代表に聞いてみた。
「本革にとってつらいのは、人間の肌と同じで乾燥です。空気が乾燥する冬場には、乾燥対策をしておかないと、革の痛みも早くなります。良質な本革シート用のクリーナーとトリートメントがセットになっている製品があるので、これを1セット用意して、乾燥する時期は、薄くトリートメントを塗布しておくことをオススメします」とのこと。
「汚れは、タオルを固く絞って水拭きするのが基本です。それでも落ちないしつこい汚れはクリーナーを使いますが、このクリーナー選びが肝心。深夜のテレビ通販などで売っている強力な万能クリーナーは、アルカリ性が強いので革を痛めてしまいます。自動車用の本革シートには、専用の弱アルカリ性クリーナーを選んでください。そしてクリーナーを使ったら、トリートメントも忘れずに。
人間の髪の毛だって、シャンプーだけでリンスをしないとゴワゴワになるのと同じです」と使用するケミカル剤の質に警鐘を鳴らす。
ひび割れはパテ埋め&塗装でしか直らない
「もし、劣化して、表皮がひび割れてきたりしたら、リペアしかありません。パテを盛って、塗料を吹いて補修するんですが、そうすると本革の風合いはなくなってしまいますが……」。
乗降するときに擦れやすいサイドサポート部分は、とくに運転席側は劣化が早いので注意が必要。
ひび割れしてしまう前に、日頃から前述したような手入れをして、本革のコンディションをキープすることが重要だ。
なお、汎用の保護艶出し剤や栄養クリーム、オイルなどを塗ると、カビの原因になったりもするので、クリーナーもトリートメントも自動車用シート専用品を使った方が安心だ。
(レポート:藤田竜太)
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取材協力:ロブソンレザー
http://www.robson-leather.co.jp/