D1 GP残りあと3戦!
誰よりも大きな歓声を受けて走る!
ドリフトに少しでも興味のある方ならご存知の「のむけん」こと野村 謙選手。
1965年5月生まれの満53歳は、パーツメーカーURAS代表、そして現役のD1ドライバーである。
そんな野村選手が、今シーズン限りでのD1からの引退を発表。ラストイヤーとなった2018年、彼が訪れるサーキットには引退を惜しむファンで溢れかえっている。
さる7月21〜22日に、灼熱の中行なわれた「D1 GPシーズン5戦目」は、筑波サーキットが舞台。
ホームストレートでの振りっ返し3発が見どころで、”DOSS”という機械採点で判定が行なわれる。スピード感やドリフトアングルはもちろん、コースからのはみ出しは減点の対象となるのがポイントだ。
練習走行ではやや苦戦している感じの野村選手だったが、そこは百戦錬磨の名人。単走予選では攻めまくって、見事全体の10位で通過。直線での速度も、上位にランクインし、その後の単走決勝でも必死に食らいつき、15位に入った(16位までがトーナメント進出)。
そして初戦・大阪以来となる追走トーナメント。ファンもその辺りは十分にわかっていて、野村選手が走ると自然にスタンドから拍手が沸き起こる。特に単走決勝では、「なんとかトップ16に残って追走トーナメントに出て欲しい」という祈りにも似たムードが、サーキット中を覆ったほど。このような雰囲気を生み出したのは、野村選手だけ。
シード組のトップドライバーであっても、なかなか見られない光景だ。
追走前にコメントを求めに行くと、「いつも通りやるだけたい。まずは自分が楽しんで。残り3戦も、そんな感じですバイ」と、いつもと変わらぬ様子が野村謙らしいところ。残念ながら追走トーナメント初戦は、前年のシリーズチャンピオン・藤野秀之選手の前に屈したが、現在優勝を争っているようなマシンは、いずれも900〜1000psというとんでもない破壊力を備えたモンスターばかり。
そうした中、パワーでは一歩劣るマシンでの野村選手の健闘ぶりは、讃えられるべきだろう。
じつは、野村選手を最も身近でサポートし、スポッターとしても指示を送るのが、息子の圭市クン。まさに親子鷹、いや親子猿!? 何れにしても、的確なアドバイスをくれる圭市クンを信頼しているので、その通りに走るのを心がけていると語る。
そしてピットの前に目を向けると常に人だかり。ピットウォークでもサインや記念撮影をせがむファンが最後まで途切れないのは、野村選手なのである。
相棒となる日産・ER34スカイラインのボディには、ファンのみんなが書いてくれたメッセージとともに、のむけんからの感謝のメッセージも描かれている。このマシンを見るだけで、なにかジ〜ンと感じてしまう。
残りはあと3戦。エビスサーキットとラストの東京・お台場。しっかりとその勇姿を目に焼き付けておきたい。
D1グランプリシリーズ
ラウンド6、7:エビスサーキット(8/25-26)
ラウンド8:お台場NOP地区(11/3)
(レポート:ストリートヒーローシリーズ・ムック編集部)