モノづくりの町から生まれた高い技術力が、ル・マン栄冠へ大きな貢献を果たす
大阪府・東大阪市は、自動車用ホイールメーカー「RAYS(レイズ)」へ、モノづくりのまち東大阪の認知度向上に貢献したことを讃え、”市長賞詞”を贈呈した。
6月にフランスで行われたル・マン24時間耐久レースで優勝した”トヨタ・GAZOO Racing TS050ハイブリッド”。その8号車と2位に入賞した7号車に装着していたのが、東大阪市に本社を構えるレイズ製のマグネシウム鍛造ホイールだったことは記憶に新しい。
6月16日~17日フランスにて開催のWEC(世界耐久選手権)ル・マン24時間耐久レースで、「RAYS」製マグネシウムレーシングホイールを装着した『TOYOTA GAZOO Racing TS050 HYBRID』の8号車(中嶋一貴選手、セバスチャン・ブエミ選手、フェルナンド・アロンソ選手)は、3位以下に10周以上の差をつけて優勝。
7号車(マイク・コンウェイ選手、小林可夢偉選手、ホセ・マリア・ロペス選手)も2位でゴールするなど、ワンツーフィニッシュという快挙を成し遂げた。
TS050 HYBRIDが装着したホイール(上の写真)は、軽量かつ高剛性なマグネシウム鍛造。
トヨタとの共同開発したスペシャルモデルは、ラップタイムをコンマ1秒単位で短縮するために数々の要件をクリアしなければならなかった。
「ホイールメーカーとして軽量化や高剛性という技術は備えていました。しかし、ル・マンのようなレースの世界では空力も重要な要素であり、それを如何にクリアするかが苦労しました。限られた時間の中で、トライ&エラーを繰り返しながらベストを探っていきました」と、レイズの三根社長は語っていた。
また、世界中でさまざまなホイールメーカーがあるなか、レイズだからできたことやトヨタを勝利に導けた理由については、
「レースで勝利を獲得するために、いかにトヨタさんの要望に応えるかが重要でした。空力性能を高めるためにデザイン変更をしてほしいと言われれば、即座に対応しました。コンマ1秒で争う世界で、その勝利のために全力を尽くしましたね」。
ル・マンの勝利は、これまで培ってきた高度な加工技術が一因だったことは間違いない。
しかも、そのテクノロジーがモノづくりのまち東大阪市の企業が行ったという事実を、世界にアピールできたことが「市長賞詞」の贈呈となった。
ちなみに日本の自動車メーカーが1991年に初めてル・マン24時間で優勝した、マツダ・787Bにもレイズ製ホイール(VOLK RACING CENTERLOCK RACING WHEEL)を装着。つまり、27年ぶり2度目となる悲願の優勝を果たしたわけだ。
なお、東大阪市役所の1階ロビーには、レイズの功績を讃えて”TS050ハイブリッド”が装着していたマグネシウム鍛造ホイールほか、レイズ製品の展示を8月31日まで行っている。
贈呈式後に、TS050に装着されていたホイールを持った野田市長は、その軽量ぶりに驚いていたのが印象的だった。
「Made in Japan」の技術と情熱が、世の中に認められたと改めて感じさせた記念すべき日。
レースで得たノウハウは、今後も市販ホイールへと引き継がれていく。