足腰の弱った高齢者は踏ん張りが効かない。
シートが低いと尻もちのように座ることに
足腰が弱ってしまった高齢者にとって乗り降りがしやすいクルマとは、ドア開口部の広さもあるが意外にも地上からのシート座面までの高さがポイント。そんな高齢者が乗り降りしやすく、価格も手頃になっている注目の中古モデル3車種をピックアップする。
最近よく見かけるのが、高齢の親御さんの買い物や病院通いをサポートしているご家族の姿。移動のためにクルマを使っているのだが、足腰が弱っている人をクルマに載せるのはけっこう大変なこと。
筆者も足腰が弱った高齢者をセダンタイプのタクシーに乗せる手助けをした経験があるが、セダンのシート座面は意外と低いので、足の弱い高齢者が一人で乗り込むのは難しかった。それは、腰を落としていく際に自分を支えきれず尻もちをつくような感じになってしまいそうだったからだ。
そこで乗り込みの際に筆者が左右から掴む感じで両肩を支えながら、ゆっくり座面まで腰を降ろすのをサポートをしたのだが、短時間とはいえ両肩しか持てない状態で人の体重を支えるのはキツかった。
大人の男ですら大変なのだから年老いたご夫婦同士や平日の家庭を預かる奥様がこれを頻繁に行うのは厳しいものがあるはずだ。また、自分で運転するにしても乗り降りのたびに苦労していてはクルマで出掛けるのさえ、おっくうになってくるだろう。
ということで今回は足腰が弱った高齢者でも乗り降りしやすいクルマについて紹介しよう。
サポートする人も屈まずに済むシート高
ポイントはずばりシートの高さで、乗り降りしやすさを求める人(便宜上、以下高齢者)が立った状態で腰の位置がシート座面より少し高いところにあるのが理想。
この位置関係だと腰を横にずらして少し落とせばそこに座面がある。腰を落とす落差も少ないので、高齢者の家族を乗せるときに身体を支える家族への負担も少ない。
また、降りるときも座面が低すぎなければ足腰が弱った人でも自分の力が有効に使えて立ち上がりやすいし、サポートする側も軽く手などを引っ張る程度で十分。
このように高齢者の体形とシート座面の高さを合わせるようなクルマ選びをすると自分で乗る人はもちろん、高齢者の乗り込みをサポートする人も楽になるのだ。
では、そういった条件に該当するクルマはなにかと言うと、コンパクトカークラスか小型のミニバンになる。さらに付け加えれば、シートは比較的フラットなスタンダードタイプが腰をスライドさせやすくて乗降性は良好になる。スポーツグレードのシートは凹凸が大きいので、シートの縁に腰掛けてから足を車内に動かすなどの一連の動きがしにくくなってしまうので要注意だ。
ただ、この手のクルマは種類が多すぎて選ぶのも大変。さらに意外に必要となるときは突然で、すぐに予算を工面できないこともある。
今回は使い勝手がよさそうな特徴があり、そしてお手頃な価格帯となった3車種の中古モデルをピックアップしたので、家族のサポートにも使えるクルマを探している人は参考にしてもらいたい。もちろん、現行モデルも大きくコンセプトが異なっていないので、新車で購入しても大きな違いはない。
トヨタ ポルテ(初代) 中古車 参考価格:20万円~
トヨタのユニバーサルデザインモデルとして登場したポルテ。シートの座面位置は高齢者などが座りやすい位置に設定されている。
日産 ジューク(現行) 中古車 参考価格:70万円~
若向きのクルマに思えるが、子育てが終わった年齢層がミニバンから乗り換えたケースが多かった。車高の高いSUVなのでミニバンから乗り換えても運転中の目線が低くならないし、このサイズのSUVは車高が高すぎることもないのでシート高も乗り降りしやすい位置。サポート用のクルマとしても適している。
ホンダ フリード(初代) 中古車 参考価格:50万円~
前席の座面は地上から約55~60cmほどとちょうどいい高さ。また、前席ドアは上側が大きく開く前傾ヒンジを採用しているので、少ししかドアが開けられない場所でも乗り降りしやすい。
ピックアップした3車種は、あくまでも一例。高齢者の身長を考慮すると異なる選択肢もあるだろう。何はともあれ、地上からシート座面までの高さがポイント。もし、ミニバンなどで高齢者が車内に乗り込むことができるケースなら、フロアからシート座面までが高いクルマを選ぶと良いだろう。