C1初のV8エンジン搭載した1955年型
当時の状態を保った貴重な一台が日本に
2018年8月26日に東京・お台場で開催された「SUPER AMERICAN FESTIVAL」。ジャンルを問わずアメ車好きが集まり、愛車を展示したこのイベントで、AUTO MESSE WEB賞は『1955年型シボレー・コルベット』を選ばせていただいた。
選定を行う上で重視したのは、クルマの希少性はもちろんのこと、オーナーさんの思いや関わり、日頃の使い方など。これらを総合して賞にふさわしい、この一台しかない! という点だ。
まず希少性については、1955年型と言うモデルは300台が生産された1953年型の初代に次いで少ない700台という少量生産モデルであることから異論を挟む余地は無い。
初代コルベットは試験販売の意味もあったことからわずか300台しか作られなかったものの、市場での人気が高まりオーダーが殺到したことから翌1954年には3640台も作られた。しかし、これは作り過ぎで1500台前後が売れ残ってしまったと言われている。
そこで続く1955年型では生産台数を700台に制限。しかもその大部分を前年までの直列6気筒エンジンに換えて、新型のV型8気筒エンジンを搭載していたのが特徴だった。直列6気筒モデルが欲しい人には前年の1954年型が販売されたというわけである。
現オーナーである乙幡昇氏の元に来てから既に20年が経つという。
前オーナーは友人とのことで、現在の状態は購入時からほとんど変わってはおらず、交換した部品は消耗品のみ。非常に美しく維持されている一方で、いわゆるショーカー的なキラキラさは無く、あたかも新車で購入したモノを大切に20年維持して来ました…といった風情も感じる、まさにイイ感じで年輪を重ねている様が感じられるのが素晴らしい。
ちなみに現在のボディ&インテリアカラーはオリジナルではないものの、まるで純正の様な佇まいなのは見事である。その他はエンジンやサスペンションなどのメカニカルコンポーネンツからディテールパーツに至るまで、オリジナルがキチンと残されている。
第一世代のいわゆるC1シボレー・コルベットの中で、最初にスモールブロックV8エンジンが搭載されたのが1955年。排気量は265cu:in(約4340cc)のV型8気筒OHV。最高出力は195hpだった。エンジンルーム内もオリジナル度は極めて高い。
ご覧の通りのコンディションであることから、「普段は余りお乗りにはならないのですか?」と質問したところ、それでも年間に2000kmくらいは走っているとのことで、これも年式を考えれば十分過ぎる数字。
すなわち希少モデルを所有するというだけではなく、コルベットと共に走ることも日々の暮らしの中の楽しみになっているということなのである。
とにかく走る姿がサマになる一台であり、日本国内にこの個体が存在していることを誇りに思いたい。
クラシカルながらシート周りのデザインなどはしっかりとスポーツカーのそれになっている。
ちなみに乙幡昇氏は、アメリカ車のヒストリックモデルのみが好きというわけではなく、他にもう一台昭和47年式の日産スカイラインハードトップ2000GTXも所有しているとのこと。いつかそちらも拝見させていただきたいと思ったことは言うまでも無い。