身体障がい者標識のクルマを煽ると
初心運転車等保護義務違反で捕まる
手足が不自由な人が運転するクルマには、「身体障がい者標識」という四つ葉のクローバーをイメージさせるステッカーが貼られている。
一般ドライバーからすれば、初心者マークや高齢運転者標識のクルマと同様に保護しなければいけない存在だ。もし、これらのクルマに危険な行為(煽り運転など)をすると「初心運転車等保護義務違反」として1点の減点と反則金が発生する。
福祉車両と言っても見た目は一般仕様車と変わりない。ひと目では見分けにくいが、車体に「身体障がい者標識」が貼ってあれば、そのクルマには肢体不自由な方が自身で運転していることを示す。
具体的には、手足が不自由なドライバー向けの改造が施してあることも多いはずだ(改造無しのケースもある)。
この標識を貼っているクルマは、一般ドライバーにとっては「保護しなければいけない存在」なので、見かけたら十分な車間を取ったり、抜くときも相手に不安を与えない距離感を意識するなどの対応が必須だ。
この身体障がい者標識が貼ってあるクルマに対しては、初心者マークや高齢運転者標識と同じように「危険防止のためやむを得ない場合を除き、標識付きのクルマの側方に幅寄せしたり、前に割り込むような進路変更をしてはいけない」と道路交通法で定められている。
これをやってしまうと「初心運転車等保護義務違反」となり、行政処分は基礎点数1点(酒気帯びだと25点or14点)で、反則金は大型車が7000円、普通自動車が6000円、二輪車も6000円などとなっている。
では、身体障がい者標識が貼ってあるなど「「初心運転車等保護義務違反」が適応されるクルマの後方から必要以上に車間を詰めるいわゆる「煽り行為」はどうかというと、これは「初心運転車等保護義務違反」ではなく、基本的に一般車と同じく「車間距離の不保持」となる(状況によっては他の違反になることもある)。
また、クラクションを鳴らし続けたりすると「警報器使用制限違反」となるなど、現場の状況に応じた違反が課せられる。
そもそも他のクルマを煽る行為をしてはいけないわけなので、それが福祉車両ならばなおさらである。
身障者や老人といった人を相手に煽ったりするのは危険というより卑怯な行為。個人的な理由からイラついていたとしても、カッとなる前にひと息ついて正しい思考へ戻して欲しい。
身障者に関連するものとしてもうひとつ車いすマークと呼ばれるものがある。
これは「国際シンボルマーク」が正式名称で、障がいのある人でも利用できる施設や公共の輸送機関を示す世界共通のマークだ。建物や施設にこのマークを掲示するには国や自治体ごとに基準もあるし、公共の輸送機関に掲示する場合も障がい者が安全に利用できるスペースが確保されていることが必要とされている。
つまり車いすマーク(国際シンボルマーク)は個人所有のクルマとは無関係なもので、そもそも個人所有のクルマに貼るためのものではない。そして貼ってあるからと言って道路交通法の規制を逃れられたり、身体障がい者専用駐車場が優先的に利用できるものではない。
ただ、障がい者が同乗していることをアピールするために貼っていることもあるので、このステッカーが貼ってあるクルマに出くわしたら「身体障がい者標識」が貼ってあるクルマ同様に保護する運転を心がけてほしいと願う。