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「スカイラインGT-R NISMO」勝利のために生まれた特別モデルを振り返る

その後にN1ベース仕様も登場した
グループA参戦のための500台限定車

日産・R32型スカイラインGT-Rには貴重な限定車が存在した。
それはR32型スカイラインGT-Rの前期型が現役だった1990年2月22日に発表された、グループA参戦を見据えたエボリューションモデル「スカイラインGT-R NISMO(ニスモ)」である。
発売は同年3月11日。レギュレーションによって変更できないパーツを中心に装備の見直しが図られた。レース仕様となればブーストは1.6kg/cm2で600psを発生。標準車で使っているセラミックタービンでは強度に不安があるため、耐久性に優れるメタル製を採用したのだ。また、コンプレッサーやトリム径、A/R比を拡大し、エキマニもニスモ専用設計として高出力化。逆に走行性能に関係のないABSやエアコン、オーディオなどは徹底的に省略し、軽量化を果たす。

そして、内外装でも標準車と多くの相違が見られる。
いわゆるニスモバンパーと呼ばれるエアインテーク付きを装着し、インタークーラー前のネットも取り払われた。ボンネット先端のフードトップモールやリアウイング下の補助スポイラーなど、より空力を考えたパーツが盛りこまれているのも有名な話だ。

ストイックに勝利を求めるニスモが登場した’90年から、いよいよグループAに殴り込みを掛ける。
デビュー戦「西日本オールジャパンツーリングカー300km」が開催されたのは、発売から1週間後の3月18日のこと。カルソニックスカイライン(星野一義/鈴木利男)のポール・トゥ・ウィンという完璧な結果だった。そしてここから29連勝という伝説が始まったのである。
「スカイラインGT-R NISMO」はグループAのホモロゲーション(認証)を取るための存在ということもあり、わずか500台限定。スカイラインGT-R(BNR32)の総生産台数が4万3934台と考えれば、いかに貴重なモデルかがおわかりいただけるだろう。

なお、設定されるボディカラーはガングレーメタリックのみで本体価格441万円。車体番号はBNR32‒10001〜100560で欠番はない。すなわち、500台が市販され、残りはレースで使用されたわけだ。

またニスモ発売後、マイナーチェンジ直前の’91年7月にはN1耐久参戦に向けてレギュレーションに沿った「N1ベー ス仕様」も登場。冷却性能やブレーキ性能向上を目指し、ニスモ以上に徹底的に軽量化されたモデルだった。’92年2月以降にメタルタービンを追加、’93年2月からは「Vスペック」がベースとなっている。

 

専用パーツを多用して標準車と差別化

サイドステップを含め、専用のエアロやメタルタービンなど、走行性能を重視したアイテムは惜しみなく投入しているニスモ。反面、ABS/オーディオ/エアコンなどの快適装備はなし。シートやステアリングなどの内装類、そしてホイールなどは標準車からの変更はない。

 

リアウイング下にトランクスポイラーを追加。またリアワイパーを省いているのもニスモの特徴だ。エンブレムではなく、専用のステッカーでニスモであることを主張する。

 

ナンバープレートの両脇に設けられたエアインテーク付きのバンパーがニスモの証。ボンネットの先端部にもフードトップモールを装着しており、インタークーラー前のネットは取り払われた。
すべて冷却性能を高めるための装備だ。

 

(レポート:GT-Rマガジン編集部)

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