家族が乗るクルマで安心して走りを楽しむ、
ディーラーで買える最新アイテム事情
自動車メーカー直系のワークスブランド。トヨタならTRD、日産ならNISMO、ホンダなら無限、スバルなら STIと、それぞれが車両にふさわしいチューニングメニューを用意している。イメージではスポーツカーへの供給が印象強いが、じつはファミリー向けの車両にも各メーカーが精力的に力を入れているのだ。今回は国産車の4大ワークス系で展開する最新レシピをお届け。
クオリティの高さは言うまでもなく、どのアイテムも全国のカーディーラーで入手可能。クルマの持つ実用性はそのままに、走りやスタイリングをブラッシュアップしちゃおう。
【TRD】
ハイエースの乗り味をファインチューニング
優れた積載力や耐久性と引き換えに、乗り心地や走行性能が犠牲になっているのも否めないハイエース。そこでTRDではラリーで培ったノウハウを投入。なかでもモノチューブ式のショックアブソーバやリアメンバーブレースは一押しのアイテムだそうで、ミニバンに匹敵する乗り心地と走りを実現したという。
今回の試乗では、荒れた路面での走行安定性やカーブの踏ん張り感が向上していることがハッキリと体感できた。さらに驚きだったのは、後席の乗り心地が大きく改善されていた点。跳ねることがなく”ストン”と収まるといった印象だ。
他にもエアロやマッドフラップでワイルドにも演出可能。フロントスポイラーやリアのバンパースポイラーなどは、十分なロードクリアランスを確保させて実用性も兼ね備えている。
ショックアブソーバセットは、ロール量こそ大きめだがじんわり動くため安心感が高い。豊かなストローク量でタイヤがしっかりと路面に追従しているのがわかる。
積載空間が大きいため、ボディが変形しやすい。これを補強するためのメンバーブレースを車体底面に装着。ショックアブソーバセットとの併用がオススメだ。
リアビューをスポーティに演出するスポーツマフラーは、上質なサウンドも魅力。大幅なパワーアップは期待できないが、レスポンスは向上できる。
【NISMO】
“スポリセ”とLSDで、日産ノートを新時代の走りに
ニスモがチューンした「ノートeパワー」を、さらにバージョンアップ。
イチオシの『NISMOスポーツリセッティング』は、独自のECUセッティングを施したもので、スポーツモードではアクセルレスポンスが高まり、回生ブレーキも強く効くようになっているという。また、開発中のフロントLSDを組み込んだのもトピックだ。
その乗り味はまさに新次元で、アクセルワークひとつで自在にブレーキが掛けられる。ワンペダルでコーナーを抜けていけるので、運転がうまくなったと勘違いしてしまうほどだ。LSDの恩恵も高く、上りのタイトコーナーでもタイヤが空転することなく、グイグイと前に進んでいく。
まさにニスモ・チューニングのノートは、時間を忘れて走りに没頭してしまうほどの楽しさだった。
“Sモード”では、駆動力特性の最適化により加速感を向上。同時に回生ブレーキ特性が変更され、リズミカルなワンペダル走行が楽しめる。
各モードが専用データに書き換えられる『NISMO スポーツリセッティング』。”eモード”では燃費向上を狙った特性となる。
気軽に楽しめるのがカーボンピラーガーニッシュやミラーカバーなどのアイテム。ブルーミラーやオイルフィラーキャップも設定された。
ロゴ入りの専用スエード調シートは、「eパワーニスモ」の純正品。適度なホールド感が心地よく、スポーツマインドを刺激する。
【MUGEN】
ヴェゼルの足まわりをナチュラルに仕立てる
マイナーチェンジを果たしたホンダ・ヴェゼルを早くもチューニング。「無限」からはエッジの効いたフロントアンダースポイラーや、18インチのアルミホイールなど、デザイン性の高い新作アイテムを投入する。なかでも注目は、快適性とスポーティな走りを両立したスポーツサスキット。ダンパーの減衰力を高めるのはセオリー通りだが、特筆すべきはスプリング。なんと純正よりも柔らかいレートを採用しているそうだ。これによりコーナーでの回頭性や踏ん張りを高めつ つ 、リアの突き上げを抑制。SUVらしからぬ軽快なフットワー クに仕立てられていた。他にもエアロパーツやウイング、バイザーなど、外装のスタイルアップも可能だ。
足まわりを積極的に動かすことで、路面に吸い付くようなしなやかな走りを実現した『スポーツサスペンション』。街中での快適性も自信ありの逸品。
チタン製フィニッシャーを採用した『スポーツサイレンサー』は、ハイブリッド車のFF用、4WD用にそれぞれ専用設計。
タフでありつつも都会的なデザインを採用したホイール『MD5』は18インチ。リムエンドまで切削加工を入れることでホイールを大きく見せる。
サスペンションキットによってノーマル比25mmダウンと、ほどよくローダウンして精悍さを増したスタイリング。スポイラー関連はフロント・サイド・リアのほか、リアのロアウイングも用意。
【STI】
フォレスター&レヴォーグの体幹を鍛える
自動車の体幹ともいえるプラットフォームを強化し、ドライバーの意のままに動くハンドリング性能を引き出す。それが「STI」の一貫したこだわり。
スバル・フォレスターについても例外ではなく、ボディを引き締めるための『フレキシブルタワーバー』や『フレキシブルドロースティフナー』を設定してきた。併せて空力を向上させるエアロパーツの導入により、フォレスターの持つ優れた素性をさらに引き上げる。
『フレキシブルタワーバー』は、横からの力は受け止めつつ、縦方向の入力を逃がす独自設計でリニアな操舵感を実現する。
もうひとつの注目パーツ『フレキシブルドロースティフナー』は、走行中のシャーシのしなりを吸収することで、ハンドリング性能の向上と乗り心地を両立する。
リップスポイラーやリアサイドアンダースポイラーなどは、コンピュータ解析や風洞テストにより最適な形状を導き出したもの。これらのタフ&スポーツな印象を与えるエクステリアパーツも設定。
レヴォーグにはSTI Sport用へ新設定
STIのノウハウを存分に注ぎ込んだ「レヴォーグ STI Sport』。この走りと質感を磨き上げたモデルを、さらなる高みへと昇華させる関連パーツも見逃せないところ。
具体的にはエアロスポイラーや『フレキシブルドロースティフナー』や『『フレキシブルサポートフレーム』などのボディパーツにより、比類なき走行性能を獲得。いっそうドライビングの楽しさが味わえるのはもちろん、高い安全性を獲得しているのも見所といえそうだ。
カスタマイズと聞けば、乗り心地や使い勝手などネガティブなイメージを伴うことが多い。
しかし、そうした心配は一切なく、ハンドルを握るのが楽しくなるような走りを実現しているのは、さすがワークス系だ。品質はもちろんのこと、車検の問題もなく安心して使えるのもメリットといえよう。