災害時にも活躍! キャンピングカーや車中泊仕様車の「サブバッテリー」
キャンピングカーや車中泊仕様車を利用するメリットは、平らなベッドで快適に就寝できること。これは最近頻発する大規模災害の発生時に、避難のベースとして活躍してくれる。
実際に常磐道走行中に東日本大震災に遭遇してキャンピングカー内で数日過ごした方や、熊本地震で自宅が大破して駐車場に停めていたキャンピングカーに寝泊りしながら復旧活動に尽力した方、さらに先頃の北海道胆振東部地震でも、北海道をクルマ旅中のキャンピングカー倶楽部の方々がキャンプ場に集結して炊き出しやスマホ充電の無償協力をしていた。
これらの方々は、クルマを快適な寝泊りの場として利用しただけではなく、停電中でも電気を利用できるシステムも活用していた。
そのシステムとはキャンピングカーの電装として一般化している「サブバッテリー」だ。
走行すれば充電できるシステムが一般的
最近では大容量のリチウムイオンバッテリーを使用するケースもあるが、車載用は数十万円するので、あまり普及していない。
サブバッテリーも充電が必要で、キャンピングカーなどではオルタネーターからラインを引き走行充電器を介してサブバッテリーに充電を行うシステムが一般的で、外部充電装置(家庭用のAC100Vから変圧器を使って充電)を備えるキャンピングカーも多い。
100Ahの容量で1200W相当の電力を供給
サブバッテリーは一般車ベースではメインバッテリーと同じDC12V仕様を使うのが一般的で、容量としては100Ah。この容量だと低電流で使用した場合に約1200W相当の電力が供給できる。
この容量があれば、単純計算で消費電力が100Wの電気製品を12時間作動し続けられるが、一般的な鉛蓄電池では容量が50%を割ると充電能力が低下するので、フル充電でも使用の目安は6時間以内にしたい。
また最近は軽量化のためにオルタネーターの発電能力がメインバッテリーへの充電量を少し上回る程度とあまり余裕がない車種が多くなり、走行中でもサブバッテリーへの充電供給が僅かになってしまうケースが増えている。
ソーラーパネルで充電できるシステムも
これなら走行充電での充電量が少なくても太陽光さえあれば充電し続けられ、エンジンを停止しても充電が続く。
またソーラーパネルの種類によっては、多少の曇りでも発電するので、サブバッテリーの電気を使っても容量低下に歯止めがかかる。
ソーラーシステム+インバーターで家電品も使用可能
しかも組み立てキットが低価格化しており、出力100Wのソーラーパネルと配線コード、ソーラーチャージコントローラーのセットが2万〜3万円程度で販売されている。
このソーラー発電システムは、外部出力から供給される電気は一般的にDC12Vとなっているので、出力端子にシガーソケットをつなげば車載用の電装機器が使用可能となるが、さらにインバーター(DC12VをAC100Vに変換する装置)を接続すれば、一般の家電品が使用可能となる。
バッテリー容量に応じてインバーターをチョイス
また同じAC100V出力でも、正弦波(家庭に供給される波形の正しい電気)タイプと、擬似正弦波(家庭用に近い波形だが多少乱れる)タイプがあり、擬似正弦波タイプは安価な製品が多いが、電子機器やモーター製品が作動不能なケースが多いので注意が必要となる。
また高出力のインバーターを使用した場合、サブバッテリーからの電気供給量が間に合わなかったり、高出力な電気製品を使うとサブバッテリーの能力が低下するなどの弊害が生じるので、バッテリー容量が100Ahならインバーターは500W前後、バッテリー容量が200Ahならインバーターは1000W前後にするのが無難。
LED電灯などの小電力な製品を使用するなら、ソーラーチャージコントローラーからシガーソケットのラインを別に引き、シガーソケット差込式の小型インバーターを使用するのも賢い手だろう。