NEXENが初めて海外のレースに挑戦
剛性感がありウェット性能もバツグン
9月22〜23日に栃木県のツインリンクもてぎで開催された「GAZOO Racing 86/BRZ Race」第8戦に、新たな公認タイヤ「NEXEN N FERA SUR4G」を装着したマシンが登場。クラブマンシリーズに初参戦した。
GAZOO Racing 86/BRZ Raceは、ナンバーつき車両によるワンメイクレースながら、激しバトルが繰り広げられることで知られている。
その激しさゆえに、今ではプロフェッショナルシリーズと、アマチュアドライバーを対象にした、クラブマンシリーズに分けられてしまったほど。パーツのほとんどが指定されてイコールコンディションを保っている中で、タイヤに関しては、統括団体であるTRA(トヨタカーズ・レース・アソシエーション)の定めた規定に合致し、かつメーカーによって登録されたものであれば、自由な選択が許されるのも特徴のひとつである。
特にタイヤメーカーからの支援を受けていないドライバーで大半が占められる、クラブマンシリーズにおいては、いかに性能に優れるタイヤを選ぶかは重大な問題だ。
これまで4メーカー(ダンロップ/グッドイヤー/ブリヂストン/ヨコハマ)からタイヤが供給されてきたが、今年のシリーズ中盤戦から新たな選択肢が加わった。それが韓国のタイヤメーカー、「NEXEN(ネクセン)」の『N FERA SUR4G(エヌフィラ エスユーアール4ジー)』だ。
日本でのモータースポーツ活動は初めてだが、本国ではCJスーパーレースと呼ばれるトップカテゴリーのサポートレースにワンメイク供給され、またUSフォーミュラドリフトにも参戦中とのこと。
同社の開発チームリーダーのLEE Seong Pil氏によれば、「海外でのレース活動は初めてになります。あえてヨーロッパからではなく日本から始めたのは、韓国から近いということもありますが、我々のタイヤが日本の86/BRZレースに、より適していると考えたから」なのだという。
そのユーザー第1号となったのが「GTNET」の社員でもある丹 洋平選手。
「弊社の社長がNEXENさんとつながりがありまして、それでお付き合いからいただいたのが使用したきっかけです」という。
単刀直入に、『N FERA SUR4G』の印象を聞いてみた。
「レースで使うのは今回(シリーズ第8戦)からですが、すでに練習では何回も走って、すごく剛性の高いタイヤだと感じました。以前使っていたタイヤよりも横の剛性が高くて、それとウェット性能が高いですね。おそらく、ナンバー1と言われているタイヤより(笑)、雨の中では安定感があると思います。
ドライに関しては少し磨耗が早いようで、それは路面温度に対しての空気圧のデータが少ないので、今後もっとテストしていかなくては、と思っています。何れにせよ夏場のレースより、これからの時期の方が路面温度は低いですからマッチしやすいでしょう。できれば、今回はウェットで走れたらいいんですが」と丹選手。
そんな恵みの雨は予選当日に降ったものの、セッションまでにはやんでレコードライン上を、ほぼ乾かしていたのは、やや残念なところ。しかも過去のレース歴が2戦しかない丹選手にとって「ほぼ乾かしていた」微妙な状態は、判断を迷わせてしまった嫌いもあり、予選上位陣に出場が許されるAレースではなく、Bレース出場を余儀なくされてしまう。
それでも完全なドライコンディションに転じた決勝では、10周をしっかり走り抜いて、4ポジションアップに成功。レース中の自己ベストタイムも最終ラップに記して、タイムの安定感もアピールした。
前出のネクセンのLEE氏は、
「今年の場合は初めてなので、順位を目指すということはせず、どういう方向でタイヤを作っていけばいいのか、確認するために今年は参戦していますので、本格的な活動は来年からになると思います」と語るもの、すでにサーキットのパドックにサービススポットを常駐させている。いち早く試してみる価値はありそうだ。