オンロード性能を両立させてファンを獲得、
2代目は快適性が大きくアップした
昭和45年に誕生したスズキ・ジムニー。本格的なオフロード4輪駆動車は、歴代モデルでビッグマイナーチェンジを何度が実施しつつ着実に進化してきた。
今回、ご協力をいただいたのはジムニー専門店の「アウトクラスカーズ」。彼らが所有する貴重な歴代ジムニーをもとに、その歴史を詳しく掘り下げたいと思う。第2回目は、前回の『初代編』に続いて乗用車としての快適性を高めた2代目を振り返る。
【第1期 SJ30(1981-1987)】
おなじみの箱型ボディへ生まれ変わる
その第1期となる”SJ30″はボディがスクエア形状に変わり、初代とは違うアプローチで力強い雰囲気を表現した。ボディタイプは3種類のソフトトップ、2種類のメタルトップバンを用意。
写真はソフトトップの中でも希少な、ハーフメタルドアのFKである。
エンジンは低速トルクを重視して、従来の2サイクル/550ccを継承。しかし、出力は26→28馬力に若干の向上を果たした。
幌を外すだけでなく、フロントウインドウを前倒しすれば風をダイレクトに浴びながらドライブを楽しめた。工具などは一切使わず、ウインドウを固定するヒンジを外すだけで簡単に前に倒せる設計だ。
SJ30
●全長×全幅×全高:3195×1395×1700㎜(バン) ●ホイールベース:2030㎜ ●車両重量:750kg(バン) ●エンジン:水冷直列3気筒2サイクル539cc ●最大出力(PS/rpm):28/4500 ●最大トルク(kg-m/rpm):5.4/2500
【第2期 JA71(1986-1990)】
初となるターボエンジンを搭載
高速域でもストレスなく走れるようになったが、逆に低速域では扱いが難しかった傾向もあり、しばらくSJ30も併売していた。
外装はSJ30と大きな違いはないが、3型になると丸型フォグランプ内蔵のフロントグリルが採用された。
心臓部は、3型になるとインタークーラーを導入。吸入空気の冷却性能を改善すると同時にターボの過給圧もアップした。
ルーフを高くして室内空間を広げ、ルーフ上部にウインドウが内蔵された「パノラミックルーフ」が発売されたのもJA71の3型からとなる。
JA71
●全長×全幅×全高:3195×1395×1680㎜(バン) ●ホイールベース:2030㎜ ●車両重量:810kg(バン) ●エンジン:水冷直列3気筒4サイクルIC付きターボ543cc ●最大出力(PS/rpm):52/5500(3型〜) ●最大トルク(kg-m/rpm):7.2/4000(3型〜)
【第3期 JA11(1990-1995)】
排気量は660ccへ拡大、限定車も続々!
エンジン出力は1型では55馬力、2〜4型は58馬力、そして最終となる5型では自主規制ギリギリの64馬力にまで拡大。また初の3速AT車が導入され、女性にも好まれた。外装は新規格のボディサイズに合わせ、バンパーを大型化。フロントグリルは1型が細いフィン、2型以降は太めの1本バーとなった。
エンジンは全車インタークーラー付きへ。改良を重ねるごとに、実用域での扱いやすさがアップしていったのだ。
4型までは鉄むき出しだった内装は、5型で樹脂の内張りを導入してフルトリム化。当時出たばかりの三菱・パジェロミニに対抗し、車内の質感を高めた。
JA11
●全長×全幅×全高:3295×1395×1680㎜(バン) ●ホイールベース:2030㎜ ●車両重量:850㎏(バン) ●エンジン:水冷直列3気筒4サイクルIC付きターボ657cc ●最大出力(PS/rpm):64/6000(5型) ●最大トルク(kg-m/rpm):10.0/4000(5型)
【第4期 JA12/22(1995-1998)】
オンロードも楽しめるコイルバネを採用
一方今までのジムニー乗りに親しまれた、F6A搭載のJA12も併売。内装もリアシートが簡易的なものから座り心地を良くしたものに変わり、初めて4ナンバー(商用車)から5ナンバー(乗用車)となった。
JA12は既存のF6Aエンジンを搭載。ギア比もオフロードでの扱いやすさを考慮し、低速重視を守る。
こちらが5ナンバー乗用タイプのJA22。フロントマスクはヘッドライト脇に丸型ウインカーとスモールを採用し、初代風のイメージに。
JA12/22
●全長×全幅×全高:3295×1395×1680㎜(JA22バン) ●ホイールベース:2030㎜ ●車両重量:890kg(JA22バン) ●エンジン:水冷直列3気筒4サイクルIC付きターボ658cc ●最大出力(PS/rpm):64/6500(JA22) ●最大トルク(kg-m/rpm):10.5/3500(JA22)
次回は軽自動車の規格改正に伴って室内空間が大幅に拡大された3代目編をお届けします。
取材協力:アウトクラスカーズ