車いすから移乗できるタイプならば
たとえ歩行が困難でも使い勝手に優れる
福祉車両というと、身体の不自由な方が運転したり、車いすのまま乗り込めたりするタイプを想像しやすいと思うが、それだけではなく車いすから移乗するなどの方法で使うタイプも存在する。今回はそうしたモデルを紹介していこう。
移乗タイプのものは、装備が軽い順に「シートが回転するもの=回転シート」、「シートが回転した後、スライドして車外にせり出すもの=回転スライドシート」、「シートが回転したのちに電動リフトによってせり出しつつ下がるもの=リフトアップシート」、「リフトアップシートが車いすとなっているもの=脱着シート」が大きな区分となる。
このタイプの福祉車両は、脱着シート以外は「車いすから自分で立ち上がってクルマに沿って伝い歩きができる、もしくは杖をつきながら歩行できる程度の状態でないと使うことが難しい」ということを覚えておく必要ある。少なくとも介助者が立ち上がるときに手助けする程度だと使えるが、歩くことが辛い状態の場合は車いすごと乗れるタイプのほうがマッチする。
こうした福祉車両のメリットは、車いす利用者が使わない際に普通のクルマとして使いやすいという点が上げられる。これを重視して購入に踏み切る方もいるが、利用者の症状が進むと使い勝手が悪くなってしまうことが多いので注意。
そうした場合にクルマを買い換える予算があれば何の心配もいらないが、今後症状が進む可能性がある場合は、車いすのまま乗れるタイプを選んでおいたほうが無難だ。
福祉車両は明確な区分けはされていないのだが、福祉車両を知るうえで大切なことがある。それは「消費税が課税となるか? 非課税になるか?」の違い。じつは福祉車両は一定の条件を満たすと消費税が非課税になる。その条件は「車いす及び電動車いすを使用する者を車いす等とともに搬送できるよう、車いす等昇降装置を装備し、かつ、車いす等の固定に必要な手段を施した自動車」となっている。リフトシートは車いす等昇降装置に該当するので、車いす等の固定に必要な手段を施せば消費税は非課税となるが、回転シートや回転スライドシートの場合は、車いす等昇降装置と車いす等の固定に必要な手段が必要となる。
車いす等昇降装置は車いすを引き上げるリフトなどが一般的、と車いす等の固定に必要な手段はベルトでも構わない。
次回は福祉車両の税金などについて、解説します。