レクサス、ホンダはテストをこう分析した
ただし、この結果からLC500が圧倒的に優勢かと言えば、実はそうでもない。
LEXUS勢の開発を統括するテクノクラフト本部の永井洋治パワトレ開発部長は
「トップタイムをマークしたと言ってもまだまだ混戦。ここをどうやって抜け出すかがポイント」と分析する。
ただしSUPER GTでは過当競争による参戦コストの高騰を防ぐために、エンジンは年間2基までで、エアロパーツに関してもシーズン中は開発が凍結されている。
永井部長は「認められたパーツの中でベストのものを選んでチームに供給し、チームの方でセットアップやタイヤの合わせ込みを進めてもらうしかない」と、残る2戦がよりシビアでタフな戦いとなることを示唆していた。
一方、各セッションでライバルに後れを取った格好となったHonda勢。
開発を統括する本田技術研究所、HRD SAKURAの佐伯昌浩プロジェクトリーダーは
「今回は、最後の公式テストということで、ここまで試せなかったセットを、各チームでトライしているようで、タイムはあまり参考にならないと思っています」と、タイムはそれほど重要視していない様子。
ランキングトップの『No.100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン)』も最終戦に向けノーウェイトでのテスト走行と思われたが、伊与木仁チーフエンジニアは「実は今回はいろいろな計測器などを載せていて、本来のウェイト(ミッドディップハンディを含めた1044kg)に比べて重くなっています」と語っていた。
ただし「ウェイトが降ろせるといっても、クルマのバランスを考えてやる必要がある。今回は軽くなったときのバランスに変えているけれど、まだベストなセットを見つけられていない、というのが正直なところ」と苦労する一面をのぞかせる。
それでも前回のSUGOでは80kg(実際には燃料リストリクターを2段階絞った上で46kgウェイトを搭載していた)のウェイトハンディを跳ね返してポールを奪い、決勝でそのまま逃げ切って見事なポールtoウィンを飾っていたのは記憶に新しいところ。本番でのパフォーマンスは注目だ。
なお、GT300クラスでは初日にトップタイムをマークした『No.9 GULF NAC PORSCHE 911』の久保凜太郎/石川京侍組が、2日間を通した総合結果でもクラストップ。
ポイントランキングでトップ3につける『No.55 ARTA BMW M6 GT3』の高木真一/ショーン・ウォーキンショー組、『No.31 TOYOTA PRIUS apr GT』の嵯峨宏紀/平手晃平組、『No.0 グッドスマイル 初音ミク AMG』の谷口信輝/片岡龍也組などのベテランを相手に、このところ調子を上げてきた若手コンビが残る2戦、どんな戦いを挑んでいくかにも注目が集まることになった。
2日間の総合で2位、GT-R勢トップとなったNo.12 カルソニック IMPUL GT-R。オートポリスでのテストでも好調で、来週末に行われるシリーズ第7戦・オートポリスでも優勝が期待されている。
全体で最速となった若手2人がドライブするNo.19 WedsSport ADVAN LC500。ヨコハマ・タイヤ装着車は今季未勝利で、LEXUS陣営のみならず、ヨコハマ陣営からも優勝への期待が高まっている。
GT300クラスで2日間総合のベストタイムをマークしたNo.9 GULF NAC PORSCHE 911。若い2人が、ベテラン相手に残る2戦でどんな戦いを挑むか? にも注目したい。
2日間の総合で3番手につけたNo.23 MOTUL AUTECH GT-R。昨年もシーズン序盤は苦戦を強いられたが最終戦のもてぎで圧勝、見事な復活劇を見せただけに、残る2戦2連勝で逆転王座も視野に入る。
2日目トップ、2日間総合でも4番手につけたNo.36 au TOM’S LC500。WECにも参戦した関係でシリーズ2戦をパスした中嶋一貴には事実上権利はないが、今季からチームに加入した関口雄飛の逆転王座を狙う。
GT300のポイントリーダーはNo.55 ARTA BMW M6 GT3。今回は意外にタイムが伸び悩んでいたが、ベテランの高木真一と成長著しいショーン・ウォーキンショーのコンビの評価は高い。
GT500のランキングトップにつけるNo.100 RAYBRIG NSX-GT。Hondaの若きエース、山本尚貴と、F1GPでワールドチャンピオンに輝いたジェンソン・バトンの新コンビは、混戦の中、頭一つリードする。
GT300で2日間総合2位のNo.88 マネパ ランボルギーニ GT3。ランボルギーニのワークスドライバーであるマルコ・マッペリをパートナーに迎えた平峰一貴の仕事ぶりには高い評価が集まっている。
Honda勢で最上位のNo.17 KEIHIN NSX-GT。2日間の総合では8番手にとどまったが中堅の塚越広大と、今やベテランの域に達した小暮卓史。並はずれたポテンシャルを持つ2人だけに、さく裂する速さが期待される。
今回のテストで観客に人気を博していた“激感エリア”。競技車両が目の前をピットアウトしていくだけに、その迫力は充分だ。
タイヤを選択したりクルマのセットアップを進めるだけでなく、ピットインシミュレーションも重要なテストメニューの一つ。
NISSAN陣営はコントロールタワーに近いピットに陣取っていて、彼らのピットインシミュレーションは “激感エリア”でも充分楽しめたようだ。
テスト2日目の10月9日は連休明けの平日だったが、オープンピットを待つ観客は、このような長蛇の列となり、改めてSUPER GTの人気が証明される結果に。