スバリスト必見の全6台をインプレ、
渾身デモカーの”走り”はいかに!!
スバル車において、現在の人気車種といえばスポーツセダンのWRXとツーリングワゴンのレヴォーグが挙げられる。WRXには名機EJ20エンジンを搭載する最後のモデルと言われる「STI」がフラッグシップとして君臨し、一方レヴォーグは、レガシィ・ツーリングワゴンの後継者として認められており、アフターパーツも豊富な車種だ。
そして、泣く子も黙る、世界のラリーストといえば「TOSHI ARAI」こと新井敏弘選手。もはや説明不要のレジェンドドライバーだが、特にスバリストと呼ばれるスバルマニアには、新井選手の熱狂的ファンが多い。そんなWRXとレヴォーグの最新チューニングマシンを、新井敏弘選手にテストしてもらおうというのが今回の企画。千葉の茂原ツインサーキットにSTI、プローバ、クスコ、カーステーションマルシェ、AVOターボワールド、ゼロマックス南関東店という、豪華なラインアップが集まった。
【STI/WRX STI RA-R】
まずはSTI30周年を記念して500台限定で発売されたコンプリートカー、「RA-R」のデモカー。元々、大幅な軽量化を図ったスパルタンなマシンを、さらにSTIの市販パーツでレベルアップした車両だ。
TOSHI ARAIインプレッション
「もう即完売しちゃったコンプリートカーですけどね(笑)。ワークスチューニングだけに、下から上までス~ッとキレイに回ってくれるエンジンが気持ちいい。ノーマルだと6200~6500rpmでタレてくるんですけど、これは7000rpmまできっちりと回る。下からもトルクがあるので、このサーキットを走ってもストレスがない。サーキットから街乗りまで、これ1台でまかなえる、万能な仕上がり。乗り心地もいいですよ」。
【PROVA/レヴォーグ】
サスペンションや吸排気、補強アイテム、冷却系、スポーツECUなど、実際にテスト&トライを繰り返しながら開発された、至極のオリジナルパーツがテンコ盛り状態のレヴォーグ。「プローバ」のデモカーは後期型だ。
TOSHI ARAIインプレッション
「オーバーフェンダーが付いていて見た目はイカツいですけど、前後のバランスが良くて、ノーズの入りがすごくスムーズ。まるで車重が軽くなったような印象です。リアの出方も唐突じゃなくて自然なので、そのままアクセルワークでコントロールできる。CVTの反応遅れがあっても、ラインをトレースしていけるので、誰にでも扱いやすいセッティングですね」。
【CUSCO/WRX STI】
「クスコ」のWRX STIは、D型がベースのデモカー。得意のボディ補強とサスペンションパーツを軸に、ドライバビリティを高めるオリジナルパーツがぎっしりと詰まった1台に仕上がっている。
TOSHI ARAIインプレッション
「クスコといえば、サスペンションと補強パーツ。フロアがすごくガッシリしていて、足はソフトな感じ。スプリングレートも高くないので、乗り心地がいいです。かといって、このサーキットで走っていても、ロールが大きくて怖いとか、アンダーステアが強いとかはないので、とてもナチュラル。中級レベルのドライバーが4WDに乗って、動きを覚えるのにはいいでしょうね。街乗りも、ワインディングも、サーキットも、全部これで走れるからエントリーモデルとしてもベストなサスペンション。そこから補強パーツを少しづつ足していけるのも、クスコのいいところ」。
【AVO TURBOWORLD/レヴォーグ】
元々は初期型の1600ccがベースのレヴォーグだが、なんと2000ccエンジンにスワップした上、マニュアルへと換装した異色のマシン。さらに「AVO」得意のチューンとして、専用のターボキットを装着し、370psにパワーアップされている。
TOSHI ARAIインプレッション
「MT載せ替えということで、CVTのかったるさ、反応遅れみたいな部分が払拭されている。まるでWRX STIに乗っている感覚。VABよりもピックアップが良くて高回転まで回るので、乗っていて楽しい。こんなクルマがあればいいよね。もう1台、CVTにAVOのターボキット装着のデモカーも乗ったけど、下からトルクが出ていて、上も伸びる。CVTとの相性も、滑る感じがなくていいね」。
【CAR STATION MARCHE/WRX STI】
ドライバーとしても有名な石田正史代表率いる、「カーステーションマルシェ」のWRX。HKSの2200cc仕様に磨かれたエンジンは、GT3RSタービンとの組み合わせで約400psを発生。メンバーやラジエータなどはオリジナルのメニューだ。
TOSHI ARAIインプレッション
「今回テストした中では、一番パワーがありそう。フロントが引っ張っていくセッティングが良く出来ている。僕が乗ってるようなラリー車もそうなんですけど、4WDでパワーがあるクルマだと、そうしたセッティングのほうが乗りやすい。アクセルを踏んでリアが出ちゃうところを、フロントが引っ張って抑えてくれるというイメージ。操作は忙しくなるけど、前に出てくれる速さがありますね」。
『ZEROMAX南関東店/WRX STI』
足まわりはオーリンズベースのTPSオリジナル仕様。現車合わせのECUセッティングも得意のメニューで、オートブリッピング機能も付加している。2層式のラジエータもTPSオリジナルでプロデュースされる逸品だ。
TOSHI ARAIインプレッション
「ターボはイジってないし、VABとしてはエントリー的なチューニングかなと思います。吸排気とコンピュータのマッチングが非常にいいですね。このくらいのミニサーキットだとちょうどいい。足まわりも、ハンドルを切った時のターンインがすごくラク。ちょっと硬いから跳ねるんだけど、リアがオーバーステア気味に入っていくので、乗っていて楽しい。こういう仕上がりは個人的にも好きです」。