クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • コラム
  • リチウムイオンバッテリー搭載!日産NV350キャラバンで新世代キャンピングカーを提案
コラム
share:

リチウムイオンバッテリー搭載!日産NV350キャラバンで新世代キャンピングカーを提案

投稿日:

TEXT: 永田トモオ

  • NV350、日産、キャンピング、リチウムイオン

高効率な大容量バッテリーが
キャンピングカーを面白くする

今、1台の豪華なキャンピングカーが、静かな注目を集めている。
『NV350キャラバン リチウムイオンバッテリー搭載グランピングカー』という長いネーミングだが、日産がこの春デビューさせた、リチウムバッテリーを搭載したキャンピングカーのコンセプトモデルだ。

注目ポイントはグランピングではなく、リチウムイオンバッテリー。
モデル名からも推測できるように、このクルマは日産がキャンピングカーに向けて開発した新しいリチウムイオンバッテリーを「サブバッテリー」として搭載している。
これまで高級キャンピングカーでも苦労していた、複数の家電や電気製品の長時間使用を余裕でこなせるシステムが大きなウリなのだ。

今年2月の“ジャパンキャンピングカーショー”で初出展。7月に開催された“東京キャンピングカーショー2018”でも展示され、多くの来場者が足を止めて見入っていた。

 

キャンピングカーの電源は、
便利さに正比例して不足する

「電気の来てない場所でも家にいるのと同じくらい便利に泊まりたい」というのは、キャンピングカーのそもそもの存在意義。電気のない生活が考えられないのと同じくらい、電気のないキャンピングカーというのは考えられない。実際、今時の高価なキャンピングカーほど、家と変わらないだけ家電や電気製品を装備しているし、ちゃんと使うことができる。
ただし、使えるといっても、何も考えずお気楽にとはいかない。家にいるように制限なく電力を供給するには、現在普及しているバッテリーの容量では基本的に不十分だ。

一般的に、高級キャンピングカーのほとんどは、自動車用のメインバッテリーと、キャンプ用電源としてのサブバッテリーを搭載。サブバッテリー(ディープサイクルバッテリーとも呼ぶ)は、自動車用と同じ形状の鉛バッテリーが一般的で、一定の電流を長時間供給できるよう設計されているのが大きな違いだ。

ただ、定番的に使われてる鉛バッテリーの電力量はそれほど大きくなく、大雑把にいえば、消費電力500Wの機器で使用できるのは2時間ほど。キャンプで使う機器は1台ではないし、照明やシャワーなど多くの電気を使うから、サブバッテリーは1〜2個で済むはずがない。
増設すれば、居住スペースが削られていくし、クルマの重量もどんどん増えていく。便利さを求めるほど、慢性的にバッテリーが足りないという宿命を背負ってしまうわけだ。

NV350、日産、キャンピング、リチウムイオン

*写真はイメージです

 

電力不足を救うリチウムイオンバッテリーという福音

そこで、いま増えているのが「リチウムイオンバッテリー」。スマホやパソコンのバッテリーではお馴染み、電気自動車やハイブリッド車にも使われている高効率バッテリーである。

車載用リチウムイオンバッテリーの特徴は、同じ容量のディープサイクルバッテリーよりも小型で実質的には倍以上の発電量を備えていること。高価なのがデメリットだが、リチウムイオンバッテリーのユーザーも徐々に増えているようだ。

ところが、NV350のコンセプトカーは、ただサブバッテリーをリチウムイオンに置き換えたようなものではない。最新型のバッテリーには、充電&制御ユニット、それに2個のインバーターを組み合わせた、ひとつのシステムとして搭載しているのだ。システム自体も、後部ラウンジシートの下に収まってしまうくらいコンパクトにまとめられているのが凄い。

数値的なデータを見ると、総出力量は8kWhで出力に100V・1.5kWを2系統とハイレベル。高級キャンピングカー用の電源としてみても、これまでになかった充実の内容だ。
総出力量8kWhというのは、単位が違うので単純比較はできないが、前出の鉛バッテリーのざっと6倍強の出力という計算(実際に使える量はもっと上だろう)。鉛バッテリーを6~7個も車内に置いたときのスペースや重量増を考えると、いかに効率的かが見えてくる。さらに、出力が2系統なのも他にない強み。エアコンや電子レンジと、消費電力の多い家電を別系統で使えば、余裕で電化キャンプを楽しめるというわけだ。

 

電気自動車で培った技術をキャンピングカーに特化

そして何よりも大きいのは、日産という大メーカーが作ったということだ。実はこのシステムは、電気自動車のリーフに搭載されているシステムと同じもの。走行中の充電機能など、メインバッテリーに関わる機能を省き、総出力量を下げるなどして、サブバッテリーシステムとして特化させているのだ。リーフでの膨大な使用実績があるから、システムとしての信頼性は抜群といえるだろう。

細かいことをいえば、走りながら充電できないのは、少し物足りない点だろう。しかし、家庭用100V電源を使って6時間でフル充電可能というのは凄い。メーカーによれば、3泊4日程度のキャンプなら十分の電力だというから、バッテリーで苦労するようなシチュエーションはそうはないだろう。

さてこの『NV350キャラバン リチウムイオンバッテリー搭載グランピングカー』は、あくまでコンセプトモデルであり、市販の予定はない。日産は、キャンピングカービルダーにベース車両として販売するそうで、それぞれのビルダーが装備を架装したクルマが、キャンピングカーメーカーから発売されることになる。販売価格は1000万円超えの噂も聞くが、ベース車両のデリバリー自体がまだだから、価格が見えてくるのは次の大きなキャンピングカーショーあたりになるのだろう。

ちなみに“グランピング”は“グラマラス”と“キャンピング”を組み合わせた造語。“豪華で魅惑的なキャンプ生活”というほどの意味だ。これからのトレンドワードになりそうなのでお忘れなきように。

すべて表示

 

 

 

 

 

 

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS