坂道の下りを感知すると
モーターで速度を制御
東京お台場にある東京ビッグサイト・東展示ホールでは、2018年10月10日(水)~10月12日(金)に福祉機器の国際展示会である「第45回 国際福祉機器展 H.C.R.2018」が開催。
全546社(国内462社、海外84社)の出展があり、天候が心配されたものの大きく崩れることなく、3日間で約12万人という非常に多くの来場者を数える展示会となった。
会場では、手動&電動車いす、電動三輪・四輪車、自転車、介助車、歩行器といった移動補助機器が展示されていたが、その中から歩行車に注目してみた。
歩行車(歩行補助車)とは、歩行の補助をする手押し車型の補助具。坂道を感知し、上り坂ではモーターアシストが入り、下り坂では自動ブレーキで速度の制限をかけるという電動アシスト機能が付くものだ。
自動車製造ラインで活躍する
自動搬送機の技術を応用
アロン化成の「安寿(あんじゅ) 歩行車リトルターン電動アシスト付」と、シンテックホズミの「電動アシスト歩行車Tecpo(テクポ)」は、自動車生産ライン設備製作などを行うシンテックホズミが工場の自動搬送機などの技術を投入して作り上げたモデル。
操作は非常にシンプルで、バッテリー部の電源スイッチを押すだけ。あとはグリップを握ればアシストがスタートする。
歩く速度にあわせた自動速度調整が効き、上り坂ではモーターアシストの出力が上がり、下り坂では自動減速。グリップから手が離れれば自動でブレーキがかかる仕組みだ。
モーターは後輪に2基装備しており独立して駆動するので、片流れを抑制し横断勾配における直進性が高まっている。アシストは3段階の切り替えが可能。
使用時は幅520×奥行650×高さ740-860(mm)だが、折り畳めば、幅300mmとコンパクトに収納が可能。重量は9.1kg、積載は6kgまで可能。
搭載するのは着脱式のリチウムイオンバッテリーで、家庭用コンセントから充電が可能。約3時間の充電で、約4時間連続使用が可能という。アシスト最高速度は4km/h、縦断勾配12%、横断勾配5%の範囲で使用可能。
ハンドルの高さが選べる
2タイプをラインナップ
竹虎ヒューマンケア事業部のブースで展示されたRT.WORKSのロボットアシストウォーカー「RT.2(アールティーツー)」のトールサイズモデル。
新発売された「RT.2トールタイプ(¥128,000・税別)」は、自動制御機能付き歩行車だ。2016年に登場した「RT.2(¥118,000・税別)」がハンドル高72.5~85cmの6段階調整が可能なモデルだったのに対し、このトールタイプは、ハンドル高81.5~94 cmの6段階調整(重量は300g増の9.3kg)。
ワンタッチ折りたたみ機能はこれまで通りで、折り畳んだ時の幅は26cmとなる。
ハンドル部のセンサーで人の動きを感知し、6軸モーションセンサーは路面状況や動きをセンシングしている。
平地でもアシストするが、上り坂になればさらにパワーアシスト、下り坂は自動的にブレーキが働き、傾斜道でもハンドルを取られることなく進むことが可能。
さらにグリップから手が離れれば自動停止、そして設定している速度以上のスピードを検知すると自動ブレーキ。また、声でもアシストする「おしゃべり機能」も搭載する。
設定はアシスト、ブレーキ、速度の3項目をそれぞれ4段階に調整ができ、64通りのアシスト設定が可能。
リチウムイオンバッテリーを搭載し、家庭用コンセントから約3時間で充電完了となり、約4時間連続使用が可能とのこと。縦断勾配12%、横断勾配5%の範囲で使用可能。最大積載量は5kgとなる。
歩行アシストをするシルバーカー
RT.WORKSブースに展示していたもう一台のロボットアシストウォーカー「RT.1(アールティーワン)」は、ストレートハンドルバーのため、扱いは4輪歩行車ではなくシルバーカー(荷物の運搬を主体とした高齢者用手押し車であり、介護保険の対象外)となる。
こちらはRT.2と同様のアシスト機能を持ちながら、フロント側に座面(サイズ34×29cm、座面高49cm)を装備しているため、散歩途中に休憩することができる。座面下には大容量の便利なカゴを用意し、最大10kgまでの荷物が載せられる設計となっている。
また、見守り機能、ヘルスケア機能、緊急通知機能を備えるネットワーク機能も持つ。
サイズは、横幅51×奥行60.1cm。ハンドル高は75~95cm、重量は15kg。リチウムイオンバッテリーを搭載し、約2時間の充電で連続歩行4時間以上を可能としている。
またワンタッチ折り畳み機能もあって、車両トランク内への積み込みも可能だ。