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ガラパゴス化する日本!世界統一基準の信号機の点灯方法や道路標識はまったく違う

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

  • 信号、外国、違い、交通ルール

日本にはない工夫が込められていた
“信号が変わるタイミングと見やすさ”

クルマを運転すれば、毎日のように見かける信号機。
一般的には左から青、黄、赤と3つのランプが並んでいるのだが、交差点が大きくなって右折や左折の専用レーンが設けられたり、5叉路、6叉路と複雑になっていったりすると、3つのランプの下に補助の矢印灯なども追加されてくる。こうなると、見た目ばかりでなく、点灯の流れも複雑になってくるが、基本的には青→黄→赤。これを何度も何度も繰り返している。

しかし、海外の信号機は青→黄→赤で、じつは赤から青に変わる前に一度、黄色が点灯する国も多い。
まだ学生生活を楽しんでいた頃、親父スネをかじってレース見たさ一心でヨーロッパへと出かけた時、フランスやイギリスの街中で、このような信号機を見て驚いたものだった。
この時の筆者は、まだ若葉マーカー。運転の機会も少なかったから、その効能に想いを馳せることはなかったが、実際に、彼の地で運転するようになってからは、その有り難みがよく分かってきた。

日本では赤信号で停まっている時や、赤信号の交差点に近づいているときなど、赤から青に変わるタイミングを計るには歩行者用の信号が有効だ。それは青から赤に変わる前には青い灯りが点滅を始めるからだ。
交差する道路の歩行者用の信号は、停車している場合は発進の準備をし、信号に近づいている場合には停止せずに進行できるよう速度を調節する判断基準にできる。

じつは信号機の点灯や道路標識は世界統一ルールがある

ところが彼の地では、本通り用の信号機自体がタイミングを知らせてくれる。つまり、赤から青に変わる時に、一度黄色が点灯して青に変わるため、うまく発進のタイミングを掴むことができる、という訳だ。

もちろん、歩行者用の信号機が備わった交差点もあるが、そうでないところもある。しかし、本通りの信号機が発進や停止することなくうまく通過できるタイミングを知らせてくれる。だから日本のように歩行者用の信号機を探してキョロキョロと脇見をすることもない。

そしてもう一つ、彼の地の信号機の素晴らしい点は、正面の高い所に加えて道路脇の低いところにも信号機が設置されていること。
例えば、日射しが眩しくてサンバイザーを使用している時など、高い位置にある信号機が確認しづらい状況が考えられるが、脇に備わる信号機は、少し目線を動かすだけで容易に、しかもキチンと確認できるスグレものだ。

ちなみに、青に変わる前に一度、赤と黄色が同時に点灯するのは法的にも根拠がある。
1968年、国際会議で合意され78年に発効した「道路標識および信号に関する条約(通称:ウィーン条約)」がその根拠。これは世界各国の道路標識や信号機を、統一したルールで運用し、安全性の向上と国際交流をより容易にするためのもの。
隣国と地続きのヨーロッパの多くの国が批准し、そのルールに則って道路標識や信号機を運用している、というから、これはフランスやイギリスだけでなくヨーロッパ各国でも同様な信号機(の点灯パターン)のようだ。
ただし、日本はこの“ウィーン条約”を批准していないために、独自のルールで運用。でも、ヨーロッパの信号機(の点灯パターン)が素晴らしいのは明らかだから、国内でもこのパターンに替えたら、と思うが如何だろう。

さて、上の写真はヨーロッパではなくSUPER GTの取材で訪れたタイ・バンコク郊外での体験。
工事中で片側交互通行となるような場合、停止信号に「あと何秒で青信号に変わりますよ」というタイマーが付いているのは国内でも見慣れた光景だが、バンコクで見かけたのは、交差点にある普通の信号機に赤信号と青信号の残り時間がカウントされるタイマーが付いているものだった。
信号機の点灯パターンは同じでも、そのタイミングは千差万別(のような気がするだけ?)。だから発進のタイミングや、うまく(信号で停止することなく)通過できるタイミングを計る上では効果大。これも技術的には難しいことではないと思うので、ぜひとも導入してほしいものだが…。

赤信号と黄色が同時点灯して
青信号に変わるのを事前にお知らせ

下の写真は、赤だけの点灯に、黄色の点灯が加わり、いよいよ青信号になろうかという瞬間。
黄色の点灯が発進準備のタイムングを掴むためにはとても効果的。もうひとつ見逃せないのは写真中央、ドライバーからは右手に見える信号機だ。背の高い大型トラックもダウンタウンに入り込んでいるからなのか(?)ドライバー正面の信号(写真中央左手)はとても高い位置に備わる。信号、外国、違い、交通ルール停止線で停まった乗用車からは見難くなっているので、右手に見える低い位置に取り付けられた信号機は助かるわけだ(ミュンヘンのダウンタウンで、ドイツ博物館に向かう道中に撮影)。

 

信号、外国、違い、交通ルール4車線もある道路で、右端から2つのレーンが右折専用。反対に左端は左折専用レーン。
こんなシチュエーションでも信号機は単純明快。右折レーンや左折レーンのクルマを運転しているドライバーは、手前左右の、つまり自分から一番手近にある信号機を見ればいいし、直進のレーンにいるドライバーは正面にある信号機を見ればいい。
ただし、このケースでは交差点の向こう側に信号機があるのかどうか、写真からでは判断できず(もちろん記憶にも残っていない)、もし手前(交差点のこちら側)の高い所にある信号機のみだったら、乗用車で先頭に止まっていたら見難いに違いない。
こちらもミュンヘンのダウンタウンで、空港に向かっている際に撮影。

 

信号、外国、違い、交通ルールこちらは、タイはバンコク郊外で撮影したタイマー表示パネル付き信号機。
赤信号で止まっている時には赤の数字で発進のタイミングを計ればいいし、向かっている時には停止せずに通過できるようスピードを調節しながら進めばいい。
もちろん青信号に向かっている時には、青色表示に変わった数字で、このまま通過できるかどうかを判断して、通過できないと判断したら、後続車に注意しながらアクセルオフしてゆっくりと止まればいい。
これも理に適った信号機と言えるだろう。とは言え渋滞の酷さを、ダウンタウンに足を踏み入れて痛感させられた。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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