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「車いす乗車の方」の車内事故を予防!スロープ式福祉車での正しいシートベルト着用法

介助用車いすは長時間乗車は厳しい
1時間以上の移動はクルマのシートで

「ウェルキャブ」とか「チェアキャブ」という名で販売されているスロープ付き福祉車両は、介助式車いすを必要とする人の通学・通勤・通院などのとき、車いすのままクルマに乗れるのがメリットだ。

しかし、一般的な介助式車いすは、お世辞にも長時間乗れるほどのクッション性能は持っていない。とくに走行中の揺れや振動が伝わる車内では1時間が限界といわれている。

一般的な介助式車いすは、機動性を高めるために軽量さを重視して設計されている。
それゆえ、シート部のクッションは衝撃吸収性などは決して高くなく、長時間座るには不向きな形状となっている。

当然のことながらクルマのシートに比べ車いすのホールド性は低く、走行中は身体が揺れやすい。
それゆえ正しくシートベルトを着用することが重要で、身体の揺れによる疲労を軽減し、万一の事故のときでもケガをするリスクは低くなる。

もともと車いすを必要とする人は、身体を支える力が弱いこともあり走行中は前後左右に身体が揺れやすくなってしまう。まずは、シートベルトをきちんと装着することが重要だ。
ちなみに車いす用のシートベルトは、肩ベルトと腰ベルトで構成され、それぞれに受け側のバックルがある。

シートベルトは、まず腰ベルトを腰骨の低い位置をしっかりと着用すること。
車いすに乗った状態でシートベルトを装着するとき、手間は掛かるがホイールの間からひじ掛けの下または座面横を通すのが正しい。

シートベルトで腰骨を固定するだけでも万一の事故のとき、衝撃によって痛ましい車外放出などを防止できる。

つい横着をして車いすのひじ掛けの上を渡すように腰用ベルトを装着しがちになるが、それではベルトで身体を固定できていないので非常に危険!絶対にやってはいけない装着方法だ。万一の急ブレーキでは、シートベルトの下を潜るように滑り出してしまう「サブマリン現象」で大ケガをしてしまうリスクが高くなる。
そして肩ベルトを着用するのだが、ベルトが首に掛からないようにする。
このように車いす用だからと特別なことはなく、通常シートのベルト着用と基本は同じだ。

車いす乗車の方のシートベルト装着法

肩と腰のベルトはそれぞれ装着する
  1. 腰ベルトを止める
  2. 肩ベルトをかける

シートベルトの受けの位置がそれぞれ異なるので注意

 

ところが、前述したように一般的な介助式車いすは長い時間座っているには不向きな形状となっている。そのため長時間移動をしたとき、座面とお尻が擦れて床ずれに似たような症状になるケースもあるようだ。
もし、1時間以上の移動するなら車いすではなくクルマのシートのほうがオススメ。

ただ、通常のクルマのシートは3点式ベルトになっている。ここで注意してほしいのがやはり腰骨の低い位置にベルトを着用することだ。普通にベルトをキャッチに差し込んだだけでは、腰骨とベルトにすき間が開いていることが多い。肩ベルトを引っ張れば簡単に腰側のベルトを密着させられるので、ぜひ行ってほしい。車いすを必要とする人は、万一の事故でも健常者のように自分で身体を支えたり、身構えたりすることが十分にできない。だからこそシートベルトの着用には、十分気を配ってほしい。
できれば上半身を固定する「胸部固定ベルト」を使用することをオススメする。3点式シートベルトより明らかに上半身の揺れることは抑制できる。しかもディーラーでもオプション扱いで販売されているから入手も容易だ。ただし、胸部固定ベルトは身体の揺れを抑制するだけなので、必ずシートベルトを着用してほしい。

このようにシートベルトの着用は、車いすを必要とする人も健常者も特別な違いはない。シートベルト着用の基本は、まず腰骨の低いところにベルトを密着させることだ。

取材協力&写真提供

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