ジャパンクオリティを維持するために
開発・設計から製造工程まで徹底管理
日本市場で1年間に販売されているアルミホイールは約1100万本。そのうちの約95%が海外製で、日本の工場で生産されているのはわずか5%にすぎない。
確実にアルミホイールの世界でもグローバル化が進んでいる。そこで問題となるのが品質管理だ。
クルマにとってエンジンのパワーを路面へと伝えるタイヤは重要だが、最近は車重が重くなり、パワーも高まっているので、ホイールに掛かる負荷は増えている。
仮にクルマやタイヤが高性能であっても、それを支えるホイールの強度や剛性が十分でないと、その性能を発揮させることはできないこともある。
このようにホイールは、従来よりも重要保安部品としての認識を高めることが必要だ。
なお、日本で販売されるアルミホイールは、基本的に国土交通省の「道路運送車両の保安基準に係わる技術基準」を適合した証しとして「JWL」または「JWL-T」のマークが刻印されている。
さらに、この国の技術基準に適合しているか、自動車用軽合金製ホイール試験協議会は第三者試験機関である日本車両検査協会に試験を委託し、適合が確認されホイール試験協議会に登録されたホイールには「VIA」マークの刻印を認めている。
この「JWL(JWL-T)」と「VIA」が刻印されているホイールは、日本の安全基準に適合しているから使用しても安全・安心と言うことなのだ。もちろん、海外で生産されたホイールも、テストで基準に適合していることが確認されれば同じようにこの2つのマークは刻印されている。
ホイールを選ぶときは、この「JWL」または「JWL-T」と「VIA」の刻印のほか、PL保険が付加されている「JAWA品質認定証」のステッカーが貼付されていることをチェックしてほしい。
ところが、グルーバル化によって海外で生産するようになったことで、重要保安部品であるホイールにとってもっとも重要な「安心・安全」を担保する難しさがクローズアップされてきた。
「開発できる」と「生産できる」は別世界
機能性とデザイン性を両立できる日本の技術
そもそも生産国ではモノを低コストで作れる施設や機械は持っていても、設計・開発をする技術は製造を依頼する開発国には遠く及ばない。
それでもホイールメーカーによっては、海外の工場にデザインイメージだけ渡して、設計から製造までを一括しているケースもある。
海外の工場では量産性を重視する傾向にあるので、ホイールとしての機能性を追求していないこともある。例えば、ホイールは強度を高めると重くなり、逆に軽さやデザイン性のために各部を細くしたり肉厚を薄くすると強度は下がる。
このような相反する要件を両立させるには、応力分散を考慮した強度分析技術などを採用したデザイン開発を行い、かつ見た目も美しくするトータルデザイン力が必要なのだ。
日本のアルミホイール市場で年間シェア10%以上となる130万本を販売する「マルカサービス」も、ホイールの生産は海外の工場で行っている。
「ホイール製造のグローバル化で重要なのは、ジャパンクォリティを確保できる品質コントロールです。弊社のコーポレートブランド『MID(マルカ・インテリジェント・デザイン)』では、意匠(デザイン)のみならず強度や剛性も含めた機能性を両立するため、開発から設計、社内テスト、製品・品質管理に至るまで一貫して日本国内の経験豊富なトップクリエイターのもとで行う仕組みにしています」と語るのはマルカサービス統括本部 の本部長・和佐田氏。
ここでいう品質管理とは、出来上がったホイールだけを見ているのではない。
アルミホイールの原材料となるアルミ合金は、素材の品質で仕上がりが大きく異なってくる。それゆえ常にアルミ素材の質を一定に安定させ、さらに製造工程毎に、アルミ素材の温度管理を徹底することで高いレベルでクオリティを維持できるという。
さらに、このような工場まで管理を行った上で、独自にホイールの検査を行うまで品質管理を徹底しているそうだ。
「グルーバル化のメリットの一つに製造コストの抑制があります。しかし、国によって安全基準が異なるので、日本に合わせた基準に製造されているか管理することが必要です。弊社としては、コストが掛かっても設計・開発から製造工程、仕上がり製品まで管理を行うことで『安全・安心』をユーザーに届けられると考えています」と和佐田氏。
日本人が持つ高い技術力は、全世界的に見ても未だトップクラスであることは間違いない。それを如何に製品へと反映できるかは、マルカサービス『MID』のような品質管理を行うことが必要なのだろう。
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取材協力:マルカサービスMID
http://www.mid-wheels.com/