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土屋圭市氏が審査委員長を務める「ドリフトイベント最終戦」で大波乱

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明

最終戦でも上位3位がチャンピオン圏内
決勝戦で1番手「益岡」がまさかの敗退

2011年にスタートしたドリフトイベント「ドリフトマッスル」が、2018年に生まれ変わりスタートしたのが「ドリフトキングダム」だ。「ドリフトキングダム」として初シーズンは、栃木県・日光サーキットで11月3日(土・祝)、4日(日)に開催となった第7戦で締めくくられた。ポイントランキング上位3位までがチャンピオン圏内という混戦を制したのは、平岡英郎選手(No.777 MADFACE VL RX-7)だった。

 

「ドリフトキングダム」最終戦は、東京お台場で行われた第2回FIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップ(IDC)との同日程での開催となってしまったため、上位ランカーでもドリフトキングダムへの参戦を見合わせる選手もいた。それでも3日に開催となったプロクラスでは30台がエントリー。最終戦にふさわしい1戦となった。

各選手のレベルアップも著しいドリフトキングダムだが、特に今シーズンは、第6戦の間瀬戦から新人(!)中村直樹選手(#999 N-Style 極シルビア)の殴り込み参戦で、見どころもたっぷりのシーズン終盤となっている。

全7戦中、獲得ポイント上位6戦の合計で争われる有効ポイント制を導入しているドリフトキングダムでは、第6戦終了時点でのランキングトップは益山 航選手(No.530 3代目マスビア)。ランキング2番手に平岡英郎選手(No.777 MADFACE VL RX-7)。3番手には川井謙太郎選手(No.109 AUTO-TEC チェイサー)。
タイトルの可能性があるのはこの3名だが、有効ポイント制を考えると、3位までに入ればタイトルが獲れる平岡選手が最も有利な状況。一方、川井選手は上位2名が予選を通過した時点でタイトルには届かなくなるという展開である。

今回の舞台となる日光サーキットは、全長1.1km、12個のコーナーを持つミニ・サーキット。
バックストレートをスタート地点とし、10コーナーを経て、11コーナーからドリフトを開始しホームストレートで進入速度を計測。その後4コーナーを抜けるまでが審査区間となる。
ちなみに審査員長は、ドリキンこと土屋圭市氏だ(上の写真)。

審査のポイントで重要となるのが、11(最終)コーナーから出てくるところはゼロカウンター以上でドリフトして出てくること。ここでふらついたら減点対象となる。ホームストレート上のドリフトの振り出し位置、そのストレートエンドの進入速度も重要だ。
審査員席は1コーナーの外側に設けられるが、死角となる最終コーナー側にはカメラも設置し、審査区間のすべての様子が審査される。3月に行われた第2戦に続いて2回目の開催となるが、競技審査区間は両2戦とも同じだ。
ドリフトキングダムでは、予選は単走(単独でドリフト走行)で上位16台が決定。トーナメント制の決勝追走セッションへの進出ができる。出走順および組み合わせのラダー表は、単走の成績で決まる。
また、上位5名は競技区間の通過タイムも重要。ドリフトキングダムのドリフト評価の大前提は「とにかく、かっこよくなきゃダメ」だ。

午前11時半からスタートした予選では、シリーズのポイント争いを最後まで展開している面々を中心にポイントランカーたちがしっかり緊張感のある単走を披露し、予選を通過してきた。
ポイントランキング3番手であった川井選手(No.109 AUTO-TEC チェイサー)は、上位2名が予選を通過したためシリーズランキング3位が決定した。ポイントランカー以外で予選を9番手で通過してきたのは、フォーミュラドリフト参戦中で昨年の菅生戦で優勝経験もある大金良隆選手(#6 MADFACE WAKO’S 7)だ。また、日光サーキットをホームコースとしているチーム伊藤オートの面々は、第2戦に引き続いてプロジェクトミューカラーのチーム4台(#831増田和之選手/#867嶋健市選手/#111長瀬幸治選手/#110伊藤満紀選手)を決勝に進出させている(プロミューカラーを身にまとっていない植村真一選手は残念ながら単走予選で敗退)。

しかし一方で、ドリフトマッスルで昨年のチャンピオンである前田 翼選手(#74 ZESTINOオディエイティー)や、開幕戦2位に入っていた野島卓弥選手(#538 ゼグラスDUNLOPサバビア)が予選敗退という厳しいものとなった。

 

予選をトップ通過した平岡選手は、予選トップポイント1点を加えて、万全の態勢で決勝を迎える。
一方のポイントランキング1位の益山選手(No.530 3代目マスビア)は予選7番手から平岡選手を追いかけるはずだった。

ところが、ベスト8で当たったのが、ドリフトマッスル初代チャンピオンのベテラン木口健治選手(#22 ヒラノタイヤ環七チェイサー)。木口選手の完璧な追走にやられてここで敗退。
この瞬間、2018年のドリフトキングダム初代チャンピオンは平岡選手に決定した。

チャンピオンを決めた平岡選手は決勝戦までコマを進め、最後の対決は中村選手となった。
中村直樹選手(#999 N-Style 極シルビア)は「鮮やかに勝ちますよ。気合いで走ります」とコメント。
一方の平岡選手も「(中村)直樹も上手いので勝ちたいけど、みなさん喜んでもらえるよう、いいものを見せたい」と臨んだものの、平岡選手のRX-7は、先行の最終コーナーでエンジンストールし、さらに審査員席前で2速に入れたつもりが入ってなく失速し、2台は接触。あっけなく中村直樹選手の優勝が決定してしまった。

2018年シーズンを振り返ってみると、いい追走が何度も見られた1年であった。
土屋審査委員長も「皆さんにいい追走を見せられるようになったね。あと(中村)直樹(選手)が来てくれて、これが起爆剤になっていると思う。直樹には、来シーズン、D1もキングダムもアメリカもヨーロッパも出られるものは全部出ろと言ってあるよ」とコメントしてくれた。

第6戦、最終戦を2連勝した、中村選手(年間ランキング8位)は「今日は自分なりには、いいものが見せられなくて不完全燃焼。予選は自分の走りのスタイルで行くとスピードがなぜか出なくて、スピードガンに拾われないんです。自分はフェイントの蹴りなんですけど、他の方はサイド進入でスピードが出てるんで、それでスタイルを変えて走ったんですけど、それがちょっと楽しくなかったところです。来シーズンもキングダムは出ようと思ってますんで皆さんよろしくお願いします」とコメント。

初代チャンピオンとなった平岡選手は「今シーズンは正直厳しい条件でのシーズンでした。タイヤがゼスティノに変更になり、それも開幕戦大会当日に、でね。開幕戦筑波で3位にはなれたんですが、タイヤのポテンシャルを引き出すまでは行きませんでしたし、その後ヴァリノに変更になり、その初戦の間瀬でもタイヤの特性がつかめないで大会に出るというのが2回も続いていたんですよね〜。クルマのほうもエンジンストールが出ちゃうという症状が直らないまま、でしたので。結果的にはシリーズチャンピンが獲れたんで、チーム的にもいい露出ができたと思うんでいい一年でしたね。来シーズンは全くの未定ですが、良いマシンでいい成績を残せるように戦っていきたいと思います」とコメントしてくれた。

ドリフトキングダム2年目となる2019年シーズンも、今年同様に開催の予定だという。開催スケジュールは追って発表されることとなる。

 

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