日本のデザイナーと職人が生み出した
無駄のないデザインと美しい風合い
マクラーレン、ポルシェ、フェラーリといったスーパーカーは独特の美しいフォルムを持つ。
いわば流線形というものだが、そんな流麗さを財布に落とし込んだのが池田工芸だ。同社は70年余りの歴史を持つ老舗の革工芸職人集団であり、その技術力の高さから黄綬褒賞を受賞。国内最大級のクロコダイルレザー専門メーカーとしても知られている。
そして、日本の匠が新たに挑戦したのが、前述の流線形財布「SLUR(スラー)」。
革の小物を流線形で仕上げるのは非常に困難なことだが、さらに”ステッチを極限にまで削る”という偉業に挑戦した。ボディのつなぎ目から生まれる空気抵抗をなくす、まさにスーパーカーと同じ発想を財布に込めたのである。
その様、じつにシンプル。一切無駄のない美しさを生み出し、同時に軽量化(長財布でわずか90g)にも成功。
構想から11年の時を超え、「SLUR」は誕生した。
札入れはカードポケット部分といったインナーにはステッチを使用。財布としての機能性や耐久性はしっかりと確保されている。
反面、外側は一切のステッチは使わず、スピード感あふれるシームレスなデザインを描き切った。
素材は、ボディとなる部分はエナメル革、内側は上質な牛革を使用。
裁断した革の断面はグラインダーをかけてニス塗りし、バフをかけてさらに幾度もサンドペーパーで磨くことで表面を滑らかにするのだが、この「コバ塗り」を6回繰り返すことで妖艶な風合いを生み出した。
天然革にありながらステッチに頼らず、そのインパクトある流線形フォルムを持つ財布を完成させたのだ。
このSLURは、長財布の「Avio」、長札入れの「Cavari」、二つ折り財布の「Volente」の3シリーズを用意。3万円前後と手の届きやすい価格も注目だ。