ダートと舗装路のあるのはラリーと同じだが
複数のクルマが同時出走するから迫力満点
ダート(未舗装路)と舗装路を組み合わせたコースを使用して、レース形式で複数のクルマが同時に走行するラリークロスは、海外でも盛り上がりを見せている。
これを日本でも開催しようと昨年エキシビションという形で行われたのが「ジャパンラリークロス・Jrx」である。2018年11月21日(水)、今回は1年ぶりの第2回目となるとなるが、福島県二本松市にあるエビスサーキット西コースでに開催された。この日は厳しい冷え込みとなったものの朝から終日好天に恵まれるラリークロス観戦にぴったりの一日となった。
昨年は、プロダクション2WDクラス(RX-P)、アンリミテッドクラス2WD(RX-D1)、アンリミテッドクラスAWD(RX-D2)の3クラスが成立したものの、今回は残念ながらプロダクションクラス不成立となり、D1およびD2の2クラスのみとなった。
今回は、新たにトヨタハイラックスを使用したワンメイクのエキシビジョンクラス(ワンメイクといってもノーマル車に安全装備などを付けた競技車クラス「Super Hilux」とラリーレイド参戦車クラス「Super Hilux AXCR」の2クラスを開催)を追加した。
ジャパンラリークロスのレース進行は、15分間のプラクティス、4周のクオリファイ、そして6周で争われるファイナルとなる。
まずプラクティスセッションのベストタイムで、クオリファイレースのグリッドを決定。クオリファイレースでの順位でファイナルのグリッドが決まる。
またラリークロスで設定されているジョーカーラップ(1回の走行で1度は通過しなければならない脇道)は1コーナーに設定。通常の1コーナーよりも手前にあり、鋭角カーブとなっているうえに2コーナーまでのアプローチにダート区間があるため、ノーマルルートよりも多少時間がかかるレイアウトとなっている。
エントリーは、RX-D1クラス7台、RX-D2クラス6台。
昨年の「RX-P(プロダクション)」クラスの覇者で、今季SUPER GTシリーズGT300クラスで自身初のポールポジションを獲得(第8戦もてぎ/No.88マネパ ランボルギーニGT3)するなど活躍をした平峰一貴選手は、昨年の車両(トヨタ86)そのままで「RX-D1」へクラス変更して参戦となった。
「RX-D1」クラスでは、昨年のこのクラスの勝者・熊久保重信選手(日産シルビア)がプラクティスに出走できないという状態だったものの、クオリファイレースでは最後尾スタートから一気に追い上げ、オープニングラップで2番手まで浮上。2周目にジョーカーラップ処理でいったんは3番手に下がるものの再び2番手に浮上。
トップは、先日行われたFIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップで日本人最上位の4位に入賞した末永直登選手(日産180SX)。4ラップにわたってをトップを守り切った。3番手はクラス変更して参戦の平峰選手という結果となった。
7台のマシンで行われた「RX-D1」クラス・ファイナルレースでは、熊久保選手がスタートで出遅れ、末永選手が有利のままレースは始まった。2番手に平峰選手も上がってくるも、トップ争いを展開するまでにはならず6ラップが進行して末永選手が優勝を果たした。昨年「RX-D1」クラスに参戦するも残念ながら優勝できなかっただけに、今回の優勝はかなり嬉しかったようす。
一方の「RX-D2」クラスは、昨年のクラスチャンピオンで、全日本ダートトライアル選手権のD部門6連覇を達成した谷田川敏幸選手(スバル・インプレッサ)は、前々日に左手人差し指の先を切断してしまったということで「左手で無理をしないようにしつつ、気合いで行くしかない」と走行前に話をしていた。
だが、クオリファイレースのグリッドに着く直前に駆動系トラブルが発生し予選不出走。2番グリッドからスタートの西野洋平選手(三菱ランサーエボリューションVI)が、後続がもたつく間に独走状態を作り上げ、ポールポジションを獲得した。
「RX-D2」ファイナルは、マシンの修復をなんとか間に合わせ無事にグリッドにつくことができた谷田川選手も揃って6台で行なわれた。
最後尾についた谷田川選手がスタートをきっちり決めて、一気に3台をパス。ポールスタートの西野選手は逆に一コーナーのツッコミでオーバーランして4番手まで順位を落とす。
谷田川選手は前を行く2台に詰め寄り、ジョーカーレーン処理のタイミングでさらに順位を上げトップに立つと貫録の走りで見事2連覇を達成した。
2番手には草間一朝選手(三菱ランサーエボリューションVII)、そして3番手に西野選手が入った。
「決勝はまずスタートを失敗しないこと。このスタートで何台かパスしてあとは1台ずつどうやっつけるかと考えていました。4周目にはトップに立ててうまく逃げることができました。普段(ダートラ競技で)は他車を抜くってことがないので、面白いですね。無事に2連勝ですね、勝ててよかった。ほんとに楽しかった」と谷田川選手。
クオリファイからファイナルまで、非常に面白いレースが展開された2回目のジャパンラリークロス。
残念ながら今回も、平日のエキシビションレースとしての開催となっている。
主催したエビスサーキットの熊久保代表は
「もちろん来年もやります。そして再来年にはJAFの公式戦としての開催を目指しています。来年は今庄さん(オートパーク今庄/福井)と2か所開催を目標にします。車両は海外のような本格的なラリークロス車でという参戦は難しいですので、今の参戦車両のようなジャパンオリジナルになってくると思います。今回はプロダクションクラスが成立しなかったのですが、もっと皆さんに参戦いただけるよう声をかけていきたいと思います。現在今庄さん以外にも、タカタさん(テクニックステージ タカタ/広島)、丸和さん(丸和オートランド那須/栃木)とも協議を進めています。シリーズ化の構想も進めていきます」と今後の見通しを語っている。