汚水の溜め方はボディサイズで異なる
キャンピングカーに給水設備が備わっているということは、みなさんご存知だと思います。では使った水をどのように排水しているのか、知っていますか? キャンピングカーで使われた水は、排水タンクに溜められます。キッチンやシャワーなどから出る生活排水は「グレータンク」、トイレの汚水は「ブラックタンク」と呼ばれる、別々のタンクに溜められています。
このグレータンクとブラックタンク、キャンピングカーのタイプによって採用されている方式が違っていますので、少し解説していきましょう。
大~中型キャンピングカー
グレータンクとブラックタンクが、クルマの床下などに備え付けられています。100L前後の大容量で、とくにアメリカ製キャンピングカーに多く採用されています。排水の際は、車外の排水口にホースをつなぎ、キャンプ場などに備えられているダンプステーション(汚水処理施設)に直接流します。
中型キャンピングカー
グレータンクはキッチンのシンク下に、給水タンクと一緒に設置されています。10~20Lのポリタンクが使われていることが多く、排水の処理はタンクを取り外して行います。
トイレは「カセットトイレ」と呼ばれる、トイレ本体は備え付けでブラックタンクが取り外し式となっているタイプが多く採用されています。ヨーロッパ製のキャンピングカーや日本製のキャブコンによく見られます。汚水の処理は、車外からタンクを取り外して行います。
小型キャンピングカー
グレータンクは中型キャンピングカー同様、シンク下にポリタンクが設置されていて、そこに排水が溜められます。
しかしトイレは「ポータブルトイレ」と呼ばれる、持ち運び可能なトイレを採用。ブラックタンクはトイレ下部に装備されていて、汚水を処理する際はこれを取り外して行います。居住スペースが限られていて、トイレを備え付けることが難しいバンコンなどに採用されています。
タンクの汚水を公衆トイレに捨てるのはNG
これらグレータンク、ブラックタンクの処理は、キャンプ場などダンプステーション、もしくは自宅のトイレなどで行います。道の駅やSAなど公共のトイレに流すのはマナー違反。
一見汚れて見えないグレータンクの排水であっても、道路の側溝などに流すことは違反となります。必ずダンプステーション、自宅の排水口またはトイレで処理をしましょう。
ちなみに自宅でブラックタンクの汚水をトイレに流す際は、2〜3泊ならさほど量は多くないですが、それ以上の宿泊したときは、数回に分けたほうがいいかと思います。
キャンピングカーにトイレを装備しないという選択
グレータンクはいいにしても、ブラックタンクの処理は少し抵抗があるという人もいます。
そのような人は、キャンピングカーに始めからトイレを装備しないことが多いようです。道の駅で休憩をしたり、キャンプ場に宿泊すれば、施設のトイレを使用できるので不要、ということです。
確かにそれは一理あるのですが、キャンピングカーオーナーのなかには、トイレを上手に活用している人もいます。
例えば渋滞中の高速道路。ガマンできなくなっても、車内にトイレがあれば安心です。また、積雪の多いスキー場の駐車場での仮眠中、トイレに行きたくなったときもあると便利です。小さな子どもやお年寄りがいる場合は、とくに重宝するといいます。
このような“排水”を切り口に、キャンピングカー選びや装備品選びを考えてもいいかもしれませんね。