幅広い層に愛されるY31型シーマは、
30年を得て100万前後の高値をキープ
バブル時代のトレンドが再び注目され、「バブルの象徴」としてテレビでも取り上げられる機会が増えているのが、日産の初代シーマ(Y31型)だ。
デビューは1988年。「シーマ現象」という言葉が流行語大賞の銅賞に選ばれるほど爆発的に大ヒットした。当時の日産セドリックやグロリア、トヨタ・クラウンの3ナンバーモデルが5ナンバーボディを共用していた時代に、シーマは専用の3ナンバーボディを採用。まさに贅を尽くしたクルマだった。
90年代に入ってもその勢いは止まらず、若者を中心にドレスアップのベース車として支持され、オーバーフェンダーやブリスターフェンダーといった大胆な加工でアピールしていた。
現在でも当時のブームを知る年輩から若者まで幅広い世代に愛され、女優の伊藤かずえもエンジンを乗せ替えてまで長く乗り続けているのは有名なハナシだ。
ちなみに、Y31型シーマは1989年8月にマイナーチェンジが行われ、前期型は1988年1月〜1989年8月、後期型が1989年8月~1991年8月となる。当時の新車価格は380万円台から510万円台と、高級車だった。
Y31型の前期型はかなりの売れ行きだったこともあり、平成元年のマイナーチェンジでは外装に大幅な変更点はない。グリルの横フィンが2本から4本となり、テールランプの透明感が増した程度。スポーティグレードのタイプII-Sは、ボンネットマスコットがバッジに変更された。
「エンジンはターボとNAの2種類ですが、オススメはやっぱりターボ。あのケツが沈み込むほどの加速感がタマラナイという方が多いです」と語るのは、撮影車両を販売する「プレスト.クリエイティブオート」の吉澤雅浩店長。
名機VG30型3リットルV6のみを搭載
31型シーマが搭載していたエンジンは3リットルV6のみという設定。耐久性の高さに定評があり、日産31型レパードなどにも採用された名機VG30だ。定期的にメンテしていれば長く使えるという。
しかし、エンジン始動時に「カタカタカタ……」というタペット音が出ることも。「オイル交換すれば、音が出なくなる例もあるようです」とのことだ。撮影車輌はターボ(VG30DET型)で最高出力255馬力、最大トルク35.0kgmを発揮する。
ボディサイズは、全長×全幅×全高が4890×1770×1380mm。ホイールベースは2735mm。車輌重量は1650kg。当時としては、日本車離れしたワイド&ローなフォルムだった。
オーナーズクラブも存在するほどファンが多い車輌なので、中古車市場ではやはり高値安定傾向。それでも以前よりは落ち着いているそうだ。
パーツ製廃が多くレア部品は価格高騰
人気のボディカラーは、パールホワイトとブラック。「ただ31シーマは色が豊富で、シャンパンゴールドやライトブルーなど個性的なカラーを求める方もいます」と吉澤店長。
純正オプションのリップ&マッドガードは、オークションで高値で取引されるほどに人気のアイテム。撮影車には、31型シーマの定番アイテムとなる純正リップスポイラーが装着されていた。こちらもFRP製のコピー品が出回るほどの人気がある。
「かなり売れたクルマということもあって、タマ数は結構多い。探せば程度が良い個体も出てきますが、この時代の日産車はトヨタよりも故障箇所が多いのがネック。特に電装系の故障とエアサスの不具合は、覚悟しておいた方が良いですね」と語る。
ただ年式の古さ故に、細部の劣化が徐々に出始めているのでチェックしておきたい。
さらにエアコン吹き出し口の劣化も注意。これはシーマだけでなく、31型セドリックやグロリアにも良く起こる現象なのだが、内装色・部位によってはもう製造廃止になっており、新品を手に入れるのは難しい。交換は、中古パーツを探して対応するしかない。
流通量はターボモデルの方が多い
グレードはタイプI・II、タイプII‐S、タイプIIリミテッドなど豊富に設定されているが、市場に多く出回っているのは当時としても売れ筋だった”タイプIIリミテッド”。
「31シーマの良さを味わいたいなら、ターボ車でエアサスのタイプIIリミテッドが狙い目ですね。タービンブローの不安がないNAエンジンのタイプI・IIもいいですが、タマ数が少ないので程度が良い個体を探すのは時間がかかると思います」と吉澤店長。
気になる中古車相場は60万〜120万円。
登場から30年を経過した初代シーマ。その魅力は褪せることはないが、やはり知識のあるショップで購入するのが長く乗り続けられるポイントだろう。
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取材協力:プレストクリエイティブオート TEL0569-25-0062
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