生産終了から5年を過ぎたVW(フォルクスワーゲン)ゴルフ6は、予算100万円のシバリで探す中古輸入車の中ではエリート車種であり、テッパンモデルである。
いつの時代も世界のスタンダードであり続ける人気者『ゴルフ』、その先代モデルをサラッと買って上手に乗りこなすポイントを挙げてみよう。なお、本記事の定義となる100万円の予算を考えると、GTi&Rのスポーティグレードは対象外になるため、今回は話題から外しておくのであしからず。
なぜ予算100万円でゴルフ6が買えるのか?
2009年春から2013年春まで販売されたVWゴルフの6代目モデルは、ダウンサイジングエンジンの潮流を巧みになぞらえながら、静粛性の改善による質感の向上を図った、優れたパッケージングが光る。
2013年にゴルフの生産台数が累計3000万台を超え、名実ともワールド・ベーシックな存在となった。そんなに良いクルマがなぜ安く買えるのか。理由は簡単、たくさん売れてたくさん流通しているから、値段が熟れているという話だ。
新車時価格と中古車相場のバランスは?
〜300万円優等生のお古を100万円で乗る意味〜
VWゴルフ6の新車時価格は、TSIトレンドラインが257万円、TSIコンフォートラインが275万円、ハイラインが312万円、GTiが366万円、Rが505万円。特別仕様の価格は割愛するが、つまり300万円以内から買える輸入車の代表格、という位置づけである。日本国内では2012年まで販売された。
さて、新車時予算約300万円だったVWゴルフ6は、販売終了から5年ほど経った今、中古車としてどうなのか?
2018年8月中旬現在で市場に流通している個体は、TSI全グレードが約350台。このうち車両価格が100万円以下の中古車は約320台存在。諸費用込みの乗り出し価格を100万円に抑えるため、車両価格を80万円までで探してみても約240台も存在する。これは年式や予算のバランスから鑑みると、非常に探しやすい条件のモデルと言える。
そのうち、特別仕様だけに絞り込んでも約70台以上が見つかり、追加装備や安全装備などを考えると、バリュー感の高い特別仕様狙いが最も賢い選択になるだろう。
100万円のゴルフ6で選ぶ基準とは?
〜走行距離より過去の整備履歴を優先したい〜
中古車の現況を整理すると、ゴルフ6の最安値は約30万円程度から。走行距離10万kmオーバーの個体や退色の目立つアマリリスレッドメタリックなどが総じて安い傾向にあるが、なかには走行距離2万km台で車両価格38万円という個体も見られた。
しかし、中古車選びにおけるイマドキの常識としては、走行距離よりも過去の整備履歴や交換部品が判明する個体を選ぶほうが堅実。最も古い年式では10年落ちになるため、走行距離が不自然に少ない個体はプロの目から見ると「シビアコンディション」になる。
”シビアコンディション”とは、自動車が年間に走行する距離が多すぎたり、走行条件が良くない個体を示すもの。ところが、チョイ乗りといった短距離走行の繰り返しが多かったり、走行距離があまりに少なすぎても車両にとっては良くない。
距離が多ければ相応のメンテナンスが施されているかが重要であり、距離が少なければ消耗品の交換やオイル交換などのメンテナンスが的確に行われてきたかを整備記録簿などで確認しておくことが大切。むしろ、走行距離は年式相応(目安としては年間1万km走行程度)でありながら、整備履歴を追いかけた時に消耗部品や経年劣化で悪くなるような部品交換を済ませている個体が、実は安心して乗れると言えるだろう。
狙うべきグレードは?
〜特別仕様車でワンランク上を目指せ〜
ゴルフ6の特別仕様車は2011年の8月から販売されたため、どれも比較的新しい。
「Premium Edition(写真)」は、駆動装置の効率性に改良が加えられ、アイドリングストップシステムの採用や、エクステリア&インテリアの装備がワンランクアップ。「Meister Edition」は、基本装備はそのままシート素材等を簡素化することで価格を下げたモデルだ。
こうした特別仕様車に狙いを定めれば、旧型ゴルフと言えどもまだまだ現役で乗れるほど、過不足はない。