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「スリット入りブレーキローター」のもたらすメリット&デメリット

ブレーキパッドの表面を研磨して
安定して高い制動力を発揮させる

スポーツ走行をするユーザーにとって、ブレーキは非常に重要なパーツだけに、パッドだけでなくローターにもこだわりたい。そこで注目したいのがスリット(溝)付きローター。
スポーツ系モデルでは、純正でも採用され、スポーツ系のアフターパーツもスリットタイプは一般的だ。そんなスリットタイプのメリットは、溝を持たないブレーキローターに比べ、冷却性が高く、ブレーキパッドの表面をクリーニングして安定した制動力を発揮できること。
しかし、ブレーキパッドの摩耗を早めるなどデメリットもある。

そもそもブレーキは、どのようにして走っているクルマを止めるのだろうか?

ブレーキは「走る」という運動エネルギーをブレーキパッドとローターの摩擦によって熱エネルギーに変換。運動エネルギーを大気放出することでクルマを止めている。
大容量ローターの制動力が高いのは、パッドがローターに接する面積が広いため摩擦力(熱交換性能)とローターの放熱性(=冷却性)が高いからだ。

スリット付きブレーキローターのメリットは、同じ外径の溝なしローターと比較したとき、溝(スリット)の分だけ表面積が大きくなるため空気に触れる面積が増えて冷却性が高まり、高い制動力を発揮できることだ。

同様の効果を望めるのが、ドリルドタイプという穴あきブレーキローター。日産R32型スカイラインGT-Rの純正ブレーキローターは、スポーツモデルということでドリルドタイプを採用していた。
ただ、サーキット走行を繰り返すとクラックが入りやすいといった弱点もあり、R32型スカイラインGT-Rのオーナーは、溝なしの通称”N1ローター”に交換する例が多かった。

スリットの本数が増えるほど冷却性が向上

さらにスリットローターのメリットを挙げると、ブレーキパッドと接したときにスリットが抵抗となって摩擦力を高めることだ。同時にパッド表面を削ることで、摩擦力が落ちた熱などで炭化した摩擦材をクリーニングする効果もある。

また、スリットの本数が増えるほど、表面積が大きくなり冷却性が向上。さらに摩擦係数も高まるので、制動力が高まるのだ。

このようにスリットローターは、ブレーキの制動性能を高めるメリットがたくさんあるのだが、デメリットもある。

その第1に挙げられるのが、ブレーキパッドの摩耗が早いことだ。
先にも書いたように、ブレーキング時に抵抗を増やし、パッド表面を削って制動力を高めることとのトレードオフになっている。
ブレーキローターのタイプにもよるが、溝なしタイプに比べパッドの減りは30%くらい早くなる。

また、ブレーキを掛けたときに「ゴーゴー」という鳴きが出ることがある。

快適性を求めるなら溝なしブレーキローターだろうが、サーキット走行をするなら安全のためにも安定した制動力を確保できるスリットタイプがオススメだ。

また、ブレーキパッドを耐摩耗性の高いタイプにすることで、ライフを延ばすことも可能。耐久レースのような長時間走り続けるときは、スリットローターに組み合わせるパッド選びはとくに重要だ。

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