クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • CAR
  • 【試乗】SUVでもよく曲がるは本当? 三菱エクリプスクロスの実力を検証
CAR
share:

【試乗】SUVでもよく曲がるは本当? 三菱エクリプスクロスの実力を検証

投稿日:

TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部 米澤 徹

不自然な電子制御の介入感がない

 マツダCX-3、日産ジューク、トヨタC-HR、ホンダ・ヴェゼル、レクサスNXと・・・・・・幅広い層から人気があり、各社も力を入れているコンパクトSUV。三菱からは4年ぶりのニューモデルとして、2018年の3月に、『エクリプスクロス』が登場。走りがいい・良く曲がると評判の高いこのクルマを試乗してみた。

 ところで、エクリプスという名前だが、1990年代にスタリオンの後継車として、クライスラーと共同(ダイアモンド・スター・モーターズ)で開発したスポーツクーペを思い出す人も多いのではないだろうか。

 アメリカで製造され日本でも販売された初代エクリプスは、オートマチックシートベルト(シートベルト自動装着装置)や、受注生産のガルウイングモデルがあったり、なかなかインパクトがあったクルマ。2代目エクリプスも、映画ワイルドスピードに主人公のブライアンの愛車だったことでも知られている。

 三菱は新しいエクリプスクロスを「クーペSUV」と表現していて、かつてのスポーツクーペである『エクリプス』の名を継承。「VIBRANT & DEFIANT(躍動、そして挑戦)」というデザインテーマを掲げ、スタイリッシュなクーペフォルムと走りの良さをウリにしている。

 とくにメカニズム的には、ランサーエボリューションで磨いた電子制御技術S-AWCによって、左右輪の駆動力・制動力をコントロール。操縦性とくに意のままに曲がれる旋回性能とスタビリティにはかなり自信を持っている。

 実際に高速道路を走ってみると、安定性はかなりいい。車内も静かでコンフォート性も満足できる。ただ、シートのウレタンはイマイチ腰がなく、何か“座り”が悪く落ち着かないのは残念。ホールド性も含め、もう少しいいシートだとクルマ全体の格も上がるはず。

 動力性能はまずまずで、1.5リットル直噴ターボから150馬力、240N・mというスペックは、100km/h前後で巡航するには過不足ない。NAの2.5リットルクラスのエンジンと比較しても余裕はあるフィーリングだ。ETCゲートを通過した後にフル加速を試しみると、ちょっと車体の重さを感じるが、一度スピードに乗れば2000回転前後をキープしたままストレスなく走れる。

 またフル加速時は、8速スポーツCVTがステップシフトし、多段のトルコンATのように加速していくのが特徴。CVTのスルスルした加速を好まない人には好感が持てるはずだ。個人的にミッションが滑っているとは言わないが、なんとなく伝達のダイレクト感が薄いような印象があった。 特にパドルシフトでダウン操作をすると、7速→6速→5速と、最初が7速からはじまるのはちょっと不満。山道の下り坂でエンブレを積極的に使おうと思うと、パドル操作の回数が多く煩わしいし、2速や3速に落としても回転数だけが高くなって、あまりエンブレ効果は期待できなかった。

 そういう意味でこのCVTはDレンジのまま走り続けるのが、正解な気がする。ワインディングでハンドリングをチェックしてみると、さすが「曲がるSUV」といわれることだけのことはあり、ヘンなアンダーステアは出ずに、どこでも素直に曲がっていく。
 そのハンドリング性能に、どれだけS-AWCが貢献しているかは、それほどハイペースで走ったわけではないので正直わからなかったが、不自然な電子制御の介入感がないのはポジティブな点。

 また、フロントタイヤの接地感が掴みやすいのも長所のひとつになるだろう。そのインフォメーションが優れている分、フロントタイヤへの依存度はやや高い感じもあるが、それはおそらく重量バランスの影響があると思われる。

 エクリプスクロスの車両重量は1550kgと見た目の割に重たくはないが、前軸は860kg(!)・後軸530kgと、前後で330kgもの差がある。
 SUVだから重心も高いわけだが、それでもニュートラルに走れるのは、やはりS-AWCのおかげかもしれない。そういう意味では雪道ではもっと強味を発揮して、楽しく走れるのではなかろうか。

 その他、いまのクルマでは少数派となった、パノラマサンルーフがメーカーオプションになっているのも特徴だ。

 またサイドガーニッシュをドア側に装着したことで、サイドシルをすっきりさせ乗降性を楽にし、雨の日などでも裾に汚れが付きにくいよう工夫されている。だが、ディーラーオプションのサイドエクステンションを取り付けると、狭い場所で乗り降りするとき、エクステンションに靴が当たりそうになるのは……。

 実用的にはリアシートまわりも広く、リアウインドが寝ているクーペスタイルのわりには、ラゲッジスペースもそこそこな容量(最大448L )。370km走行し、燃費は高速道路で12.3km/L、一般道では渋滞も含め、7km/Lという数字だった。
 300万円という価格を考えると、デザインも走りもよくまとまっている一台。クーペルックの他車とは違うスタイリングも含め、コンパクトSUVの中で個性と存在感のあるクルマだった。

すべて表示
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
著者一覧 >

 

 

 

 

 

 

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS