「聖地」と呼ぶほど熱狂的なスバリスト
熱いSUBARUファン(スバリスト)の“聖地”として挙げられる場所がいくつか存在する。例えば東京都渋谷区恵比寿にあるエビススバルビル(株式会社SUBARU本社ビル)や群馬県にある株式会社SUBARU群馬製作所、中島知久平の生家などなど・・・多々あるのだ。
そのなかでも外せない場所のひとつが2009年にオープンした東京都三鷹市にある「スバルテクニカインターナショナル(以下STI)」のSTIギャラリー。SUBARUのモータースポーツやコンプリートカー開発、スポーツパーツ開発を行なうSTI本社に設置されているSTIギャラリーは、歴代の競技車両などを展示していた。そして2019年1月6日(日)にリニューアルオープンしたのだ。
従来から一般来場者にも公開されていたSTIギャラリーだが、基本的には無人の空間でどことなく閑散とした雰囲気。訪れる来場者は、展示されているレースマシンを写真に収める程度の場所であった。しかし今回のリニューアルでは展示物が見やすくなっただけではなく、ファンとのコミュニケーションを図る場とすることを意味する仕掛けが数多く施されている。
例えば展示物では、これまで未公開だった数多くのトロフィーの展示を実施。実際にはここに展示されている以外にもまだまだ保管されているそうだが、定期的に展示されている盾やトロフィーなどは入れ替えていくそうだ。しかも、スタッフに声をかければ実際にトロフィーに触れることができるという。
ファンにとって貴重なトロフィーに触れることができるのは、じつに嬉しい仕組みといえるだろう。
またギャラリー内に掲示する年表には、その年を代表するレースカーやコンプリートカーなどのミニカーが並ぶ。実はこれにもファンとのコミュニケーションを図る仕掛けが用意されている。
展示されているミニカーの中には真っ白の車体に「Looking for」という文字が入れられているものがある。これはミニカーとして市販化はされているものの、STIに所蔵されていないということ。
そのようなミニカーをファンからの寄付を募っている。もちろん、ただ寄贈するだけでない。寄贈者の名前を展示しているミニカーの銘板に入れたり、寄贈式などを開催したり、といったファンとSTIが交流を深められる体制を検討しているそうなので実に楽しみ。
いままで海外からのファンが訪れることもあったSTIギャラリーだが、新たにギャラリー内の柱には訪れた人がサインやSTIへメッセージを書き込めるようになっている。自分の足跡を記すことで、写真撮影以外にも心に残る画期的な仕組みといえるだろう。
もちろん、STIの歴史に欠かせない競技車両やコンプリートカー、STIスポーツパーツやグッズの展示も行われる。これらの展示物は定期的に入れ替えが行われ、訪れるたびに変化するギャラリーを楽しむことができるわけだ。
ギャラリーのマスコミ向けのリニューアルオープンイベントでは、STI代表取締役社長の平川良夫氏(写真中央)が「ここでしかできない体験の場、ユーザーの皆さんとこれから作り上げていく場という、2つを大きな目標をかかげてリニューアルしました」と語っていた。
SUBARUは、スポーツを中心にしたアクティブなイベントを数多く開催。これは、最近増加している「趣味のためにSUBARU車を選び、購入している」というユーザーを楽しませているためだ。
その一方で、STIは創立30周年を記念して「STIサーキットドライブ」というサーキット走行会を中心としたイベントを昨年開催。これはSTI主催のイベントとしては初の試みで、サーキット走行以外にも様々なコンテンツが用意され、見学者も1日存分に楽しめる内容であった。
このようにSTIが「純粋にクルマ好き」を楽しませてくれるイベントを開催してくれることは、一人のSUBARUファンである筆者も非常に嬉しく、参加したファンの皆さんも非常に満足度が高いイベントであった。
多くの自動車メーカーはクルマを販売したらユーザーとの関係は、ほぼ終わってしまうものの、SUBARUやSTIは、このようにユーザーとの繋がりをもつことを積極的に行っている。
このような姿勢は、クルマを購入した後もユーザーへ“恩返し”をしてくれるメーカーとして間違いなくファンを増やしていくだろう。
今後はさらにファンとの交流、ファンが楽しめるイベントをSTIギャラリーでも開催していく予定とのこと。STIギャラリーもリニューアルが完了しただけで完成したわけではなく、これから「ファンと共に作り上げていく“聖地”」としてまだまだ進化していくことを期待したい。