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プロに聞く! レーシングドライバーがいう「タイヤの限界」とは

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: 澤圭太/Auto Messe Web編集部

スキール音が聞こえない走り方はタイヤのグリップ力を使い切れていない

「厄介なことにタイヤはほんの少しだけスリップしたとき、最大グリップ力を発揮する性質があります、ご存じの方が多いように、タイヤはスリップすると鳴きはじめます。いわゆるスキール音ですが、このスキール音がまったく聞こえない走り方では、タイヤのグリップ力を使い切れていません。つまり、タイヤのグリップ力が余っている状態です。

タイヤのスキール音が鳴らないのが、きれいな走りだとか上手な走りだと誤解している人が多いですが、スポーツドライビングでは、きれいにいいスキール音が連続しているのが理想的。だからタイヤの限界を知るコツは、サーキットなどでタイヤの限界領域を超えたときのスキール音を覚えることをオススメしたいですね。ちなみに、限界領域を使えているときは、「ヒョォォォォ~」とか「キィ~~~~」といった音がして、「ギャギャギャギャ」「ギュルギュルギュルギュル」「ゴロゴロゴロゴロ」といった具合に、濁点のつく音が出るときは、タイヤの限界を超えてしまっている証拠です」。

ポイントは、いい音が均一になっているかどうか、とも語ってくれた。彼が主催している『ワンスマ』の『広場トレーニング』では、そのタイヤの音を感じてもらうために、窓を開けて走るように指導しているそうだ。これはレーシングコースではなく、『広場』でのトレーニングだからこそできる練習方法。

「もうひとつ大事なことは、タイヤのグリップ力は、四つのタイヤの総和で決まるということ。多くのドライバーは、フロントタイヤのグリップしか感じようとしていないので、いかにリアタイヤのグリップを感じるか。これがドラテク上達の鍵となります。スポーツドライビングをするときは、後ろのタイヤを意識して、リアタイヤがどう鳴いているかを気にしてください」。

最後にタイヤの限界を学ぶためのおすすめのトレーニング方法について。

「タイヤの限界を知るには安全な場所で、少しだけその限界を超えてみる経験が何よりです。たとえば『ワンスマ』のレッスンでいえば、FSW(富士スピードウェイ)の駐車場で挙動コントロールテクを学ぶ、『広場トレーニング』が最適です。具体的にまずブレーキを残さず、完全に離した状態で、ハンドルを切って曲がるコーナリングを体験してもらい、そこからちょっとずつブレーキを残すターンインに移っていきます。すると、ある段階まではブレーキを残せば残すほどコーナリング速度は上昇。しかし、ある段階を超え、ブレーキを残すとアンダーステアが出たり、クルマの挙動が乱れたりしてきます。

このレッスンをすることで、自分のクルマ、自分のタイヤが限界を超えたときと、その手前の状態を知ることができるようになるのでこのプログラムを反復練習するのが、タイヤの限界を掴む一番の近道だと確信しています」と澤選手は教えてくれた。

【詳しくはこちら】

取材協力:ワンスマ
http://www.onedaysmile.jp/

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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