製作に自動車カスタムのノウハウが注がれる!
救急車だというのに、フロント・サイド・リヤにはエアロパーツが装着されており、オシャレな18インチのアルミホイールまで付いている…。「んっ、救急車をドレスアップ?」、だからルーフの左右には「アンバランス」なのかと思いきや、英語で救急車を意味する「AMBULANCE」の文字。じつは、れっきとしたマジメな救急車だったのです。
展示されたのは、西日本最大級のカスタマイズカーイベント「大阪オートメッセ2019」。製作した「CKカンパニー」は、カスタムだけでなく、板金や中古車販売など多岐に渡る事業を展開しており、福祉車両の製作支援からの発展形として、新たに進めるているが救急車の製作。その名も「A-LINEジャパン」だ。
救急車には、119番で消防署から駆けつけてくれる救急車もあれば、病院から病院への患者の搬送に使われる病院所有の救急車も存在する。ここに紹介している車両はその後者。元々、ドレスアップ事業以外に介護車両事業へ取り組んでいたことから各種病院と多くのパイプを持っていた同社が、「介護車両が作れるのならば、救急車も製作できないものか」というリクエストから生まれたプロジェクトなのである。
どうやら新車ベースで病院関係者用のハイエースをイチから作るとなると、それなりの高額が付く。ならばと、現在運輸局への申請も含めて「救急車製作プロジェクト」を着々と進行している最中の出展だったというワケだ。ただ、今回はカスタム・ドレスアップ色が濃い大阪オートメッセへの車両出展。得意なノウハウを生かしたドレスアップの強みを生かし、ダイナスティ製のエアロパーツや18インチのアルミホイール、ローダウン(2インチダウン)といったカスタムを異ジャンルの救急車に盛り込んだのである。
ベースは、ハイルーフ+ナロー&ロングボディの中古福祉車両だ。装備としては、車イスがリヤから電動で運び込める仕様に、患者を寝かせたまま運べるストレッチャー、酸素ボンベ2本(2時間供給可能)、点滴を天井から吊るせるバー、100V電源(1500W以上使用可能)、緊急治療用の各種道具の収納棚を完備。外観には拡声機、前後左右、全方位から確認できる赤色回転灯も装備されている。拡声機や赤色灯使用のためのマイクなどはインパネに集約されるなど、中身は真面目な目的で作られた正真正銘の救急車なのだ。
そういった誕生の経緯もあり、車両は一般ユーザーが購入するハイエースではなく、病院関係者が使用するための公共性の高い特別仕様モデル。エアロパーツやアルミホイールは純正に戻しての販売となる。現在は、認可を得るための申請に向けて作業の真っ只中。車体の赤いストライプに関しても”赤”だったらいいワケではなく、反射式で無くてはいけないなど、装備や強度だけでなく規格なども非常に細かいそうだ。