ドア内側に大きな空間がある理由
さて、内装はどこが異なるのか。前述のように変速機は、ロックアップ機構を省いた4速ATとなり、デフロック可能なフルタイム4WD機構を装備。走行シーンにあわせて調整することで、山道や不整地を走行することの多い自衛隊車両で大きな武器となっている。また、電装系は市販モデル12Vに対して、73式は24V仕様。ダッシュボードの形状こそ似ているが、自衛隊車両ならではの装備もある。
「運転席まわりで市販車とちがう点で言えば、ステアリングの右下にあるロータリースイッチですね。ブレーキランプやヘッドライトといった灯火類を管制(コントロール)するもので、街中を走るときは道交法に厳守し、厳戒体制では明るさや点灯方法を変えるなど、状況に応じて切り替えするようにしてます」。
また、マニュアルながらもエアコンが装備されたのも2代目の73式から。エアコン操作パネルの下には、災害時などの情報収集を行うためのAM/FMラジオをはじめ、ETC車載器も完備されていた。内張りのないオリーブドラブ色に染められた空間がスパルタンさを物語っているものの、あまり特別感は感じられない。
「あとは市販車と異なるのは、内張りが取り外されたドアですね。左右のドア内側には、小銃を固定するための大きなポケットが備わり、そこには取り付け具をセットしています。パワーウインドウを取り外し、横方向にスライド開閉する構造としたのも空間を確保するためのだと思いますよ」。
他にもロールバーや専用シートカバーなどを装備し、隊員たちの足となって活躍する73式小型トラック。車重は市販モデルより約200kg増の1.94t、最高速度は135km/hと記載されていた。もし、街中などで見かけることがあったならば、市販車との違いをじっくりと観察してみるといいだろう(運転中はダメですよ)。
最後に、大阪オートメッセでは車両展示にくわえ、子供たちに向けた制服試着体験や、災害時に役立つライフハックの実演を実施。イベントを通じて、自衛隊を身近に感じてもらおうという試みが行なわれていた。こういったイベントは、今回の大阪地方協力本部をはじめ、ホームページで各地のイベント情報を公開しているのでチェックしてほしい。
(ちんサブ)