ルールはあるが明確な規制はナシ!!
障がい者用駐車スペースなどに表示されている、車いすをデザインしたマークは「国際シンボルマーク」というものです。じつは「国際シンボルマーク」は、障がいのある人々が住みやすいまちづくりを推進することを目的として、1969年に民間の組織である国際リハビリテーション協会(RI)により採択されたものです。つまり公的機関が作ったものではありません。初心者マークのように装着が義務づけられてもいませんし、装着することによって、周囲のクルマに注意義務が生まれるようなものでもありません。
「国際シンボルマーク」は障害のある人々が利用できる建築物や施設であることを示す世界共通のマークで、本来はクルマなどに貼るものではない、と公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会は説明しています。ですから本来の趣旨とは違うものの、障がいのある人が乗っていることを示すものにはなるのですが、道路交通法などの規制を免れるなどの法的効力はないというを知っていて欲しいと同協会では言っています。
さて、障がい者用の駐車スペースについてですが、国土交通省はこのスペースのあり方に関連した『高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準』の改正を平成29年3月に行いました。その文章のなかに以下の記述があります。「車いす使用者のみではないことに配慮し、上・下肢障害者や妊婦、けが人、乳幼児連れ利用者等のための駐車施設を別途、設ける」。
これはさまざまな状況を想定して書かれているのでしょうが、非常に誤解を受けやすい表現です。これだと乳幼児を連れていれば、まるで使っていいような印象を受けます。障がい者用の駐車スペースは設置に関しては法的に規制がありますが、使用に関しては明確な規制はなく、人々のモラルの上になり立っているものです。上記のような記述を見てしまうと「乳幼児を連れているんだから」と止めてしまう人がいそうです。
障がい者用駐車スペースに止めていい人は、それが必要不可欠な方と考えれば間違いありません。誰だって少しでも便利な場所に駐めたいでしょうし、誰だって雨の日は屋根がある場所のほうがうれしいものです。しかし、車いすを使っている人はドアを大きく開けられないと乗車ができないことがあります。それを考慮して障がい者用駐車スペースは広くなっているのです。
もちろん、歩けるもののそれが辛い内臓疾患のある方なども使うことができます。ただ、障がいがあるからといってもそのタイプによっては、障がい者用駐車スペースを使わなくても平気な方もいます。逆に障がい者ではないものの骨折で車いすを使っている人もいます。障がい者用駐車スペースはクルマに付いているマークで使える使えないが決まるものではなく、必要な人がモラルを持って使うものなのです。
車いすのレーサーが駐車スペース事情を語る
最後に、元2輪ライダーで世界チャンピオン目前に怪我をして車椅子生活になり、現在は4輪のレースで活躍し世界中を回っている青木拓磨さんは、
「いまだに車いすマークあるの駐車スペースに対して認識の低い人が多いですね。個人的には高級車が止まっていることが多い感じます。自分たちのように車いすを使う人にとって、ドアを十分に開けるスペースがないとクルマの乗り降りができないんです」という。
「よくタイやインドネシアに行きますがアジアの国にはそもそも車いすの人の駐車スペースはほとんどない。逆にアメリカやヨーロッパは充実している。アメリカではそのスーペスに止めただけで200ドルの罰金という州もある。日本は思いやりの国というけど、そろそろきちんとしたルールを作らないといけない時期なんでしょうね。国会ではそんな議題すら上がっていない」
ユニバーサルトイレについても言いたいことが多いという。このテーマは言い出したら止まらない。改めて意見を聞きたいところだ。