ランニングコストや点灯時間などを比べてみる
ファミリーキャンプ向きのランタンは、ガスやガソリン、灯油などを燃料とする「燃焼系」と、電気を用いる「LED」に分けられる。どちらを選べばいいか、いろいろな角度から検証してみよう。
【燃料の入手しやすさ】
燃料(電気)の入手しやすさは互角。キャンプ場の売店では有名メーカーの燃料はそろっているし、乾電池とカセットボンベならコンビニでも手に入る。
もっとも便利なのは、自宅やクルマでも充電できるUSB充電式。中にはUSB充電+ソーラーバッテリーのハイブリッドも登場しており、非常時に頼りになる。
【ランニングコスト】
ランニングコストで見ると、マントル(発光体)不要のLEDが圧倒的に有利。単一乾電池6本使うランタンの場合でも、乾電池代(600円程度)で100時間以上点灯できる。
燃焼系はカセットボンベ(300円程度)、ガスカートリッジ(800円程度)、ホワイトガソリンとホワイトケロシン(いずれも約1000円。安価なものもあるが、メーカー指定品は詰まりなどを防げる)に、マントルが必要なものはキャンプ1回につきマントル1枚(500円程度)が加わる。
2泊目、3泊目は燃料代のみ加算され、LEDとの差はさらに拡大。ただし、LEDが何十年も機能するかは未知であり、燃焼系は子や孫世代へと受け継いできた実績があるのだ。
【照射範囲】
燃焼系のメリットは、なんといっても暖かみのある光で広範囲をカバーすること。キャンプサイトを広く照らす大光量からテーブルに載せるほのかなランプまでさまざまだが、いずれも円筒形のグローブ(ホヤ・ガラス部)を持ち、高い位置に置くだけで周囲をやわらかく照らす。そして、何よりも色の温かみがLEDにはないといえる。
しかしLEDは進化が著しく、燃焼系並みの大光量モデルが続々と登場。とはいえ、フラットな形などデザインによっては照射範囲に偏りが生じるモノもあり、広範囲に光を届けるためには光をバウンスさせるなど工夫が必要だ。
【点灯時間】
LEDランタンは、連続点灯時間が5〜6時間程度のものから200時間を超えるものまでさまざま。当然、搭載する乾電池の本数や内蔵バッテリーの容量が大きいものほど使用時間は伸びる。
ただし、気温の影響を受けやすく、また、乾電池タイプは新品でない限り、あとどれくらい使えるかがわかりづらいので結局、予備電池はほしいところだ。
一方、ホワイトガソリンや灯油を使用するものは10時間前後、ガスカートリッジ式だと480g缶で約6時間、カセットボンベ式は約4時間が目安。燃焼系はいずれも燃料満タンで一晩くらいはもつ計算だ。LEDに比べると頼りないように思えるが、バーナーと燃料を共有できるのが利点である。
【重量】
軽量・コンパクトさはLEDランタンに分がある。テントのフックに吊り下げやすく、また、近年は小さくても大容量の内蔵バッテリーを持ち、手のひらサイズなのに目を見張る大光量タイプも存在する。ただし、乾電池式の場合は、単一乾電池を6本使うモノなら乾電池だけで600〜800g増加し、燃焼系(1〜1.5kg程度)よりも重くなるケースも。重いと安定感はあるが、大型LEDはテントのフックには吊り下げられないことがあると心得てほしい。
【光の色と調節】
LEDは赤みがかった暖色(電球色)・青白い光(昼光色)・わずかに黄色い白色(昼白色)・赤や青、緑など、LEDランタンごとに色々な光が設定されている。手元の作業をするなら白色系、食事は暖色など、1台で複数の色から選択できるLEDランタンも珍しくない。星空を観察したい、夜の森で野生動物を探しに行くときは赤い光があると便利だ(暗順応しやすい)。
光の調整はランタン次第。無段階調整ができるものもあれば、ハイ&ローの2段階に限定されているもの、調整できないものなどさまざま。ただし、商品によってはハイとローの差があまりない場合もあるので注意したい。
前述のように燃焼系は暖かみのある光を発する。光量調節は基本的に無段階だが、光量を絞って使用していると燃料が残っているのに消えることもあるので注意。
【音】
非加圧灯油ランタンやキャンドルランタンなど一部を除き、燃焼系には多少の燃焼音が伴う。一般に大光量のものほど燃焼音が大きく、共鳴音を発するモノもある。この共鳴音は光量を変えることで落ち着くが、燃焼音とともに消灯時間間際の静かなキャンプ場では周囲に対して申し訳なく思うケースもある。
LEDは当然だが無音。操作時にクリック音が短く聞こえる程度ですむ。
このように、車内や非常時の家庭でも使うならば断然LEDだ。ヤケドや一酸化炭素中毒の心配がなく、小さな子がいるファミリーはLEDランタンだけで過ごすことも珍しくない。最近はモバイルバッテリーとして機能するタイプもあり、クローゼットにしまいこまず、いつでも持ち歩けることが可能だ。
一方の燃焼系はテントや車内での使用は不可で屋外利用に限定的。ただし、独特の燃焼音によりキャンプに来たと実感できる。また、圧力が低下したり燃料が少なくなったりすると光が不安定になるのも愛嬌。手間がかかるが“かわいさ”があるのだ。