12V電源を100Vに変換するインバーター
最近では電気式動力を持つクルマのPHEVやPHV、HVは、100V電源のソケットを装備しているモデルでは、ホットプレートや電気ポットといった1500Wまでの家電が使えるのでキャンプや非常時に重宝すると言われている。では、一般的なクルマでは家電製品を使えないのだろうか?
ホームセンターやカー用品店では、シガーソケットから電力を取り出す「インバーター」というものが販売されている。この「インバーター」は、自動車用の電源「DC=直流」を家電が使えるAC(=交流)に変換する機械DE、100Vコンセントが装着されている。これで一般的なクルマでも100Vの家電を使用することが可能だ。しかし、だからといってどんな家電でも使えるわけでではない。ではどうすれば家電が使えるようになるのか、説明しよう。
電力変換の「インバーター」ってなに?
まずは電気を家電にあった交流に変換するインバーターという装置だが、出力が異なったものがいろいろあり、使用できる電気製品も出力に応じて異なって来る。
国産普通車のバッテリーは12Vが主流なので「入力電圧DC12V、出力電圧AC100V」であるインバーターから選ぶこととなる。トラック用などに多い24Vバッテリー用のインバーターも売られているので、まずはDC側のボルト数の選択を間違えないこと。
インバーターのスペック表を見ると、連続して電気を出力する「定格出力」、一時的な「最大出力」、一瞬の出力が可能な「瞬間最大出力」などの項目があり、市販のインバーターは定格出力120~150W程度のコンパクトなものから、定格出力1500W程度までラインナップされている。
家電の消費電力は使用状況で変化
クルマのバッテリー上がりに注意
電気製品は常に一定の電力が必要なわけではなく、たとえば、冷蔵庫は起動時に定格消費電力の10倍が必要とも言われるし、炊飯器は炊飯時に多くの電力を消費する。
そのためクルマで使おうと思っている家電製品の定格消費電力や最大消費電力が、インバーターの定格出力や最大出力以内に収まっている必要があるのだ。
ところが炊飯器や電子レンジ、ホットプレートなど調理家電はおおむね1000W以上のため、インバーターの出力を大きく超えるケースが多い。また、インバーターの最大出力が2000Wとなっていても、最大出力はあくまで一時的な出力。使用環境によっては出力オーバーの危険もあり。
*電気製品の消費電力は単位が「W(ワット)」以外にもあってわかりづらいが、A(アンペア)なら100Wかけて換算(1A=100W)、VA(ボルトアンペア)はその数値のまま計算すればいい。
とはいえパワフルなインバーターを用意すればすべてOKということではない。電源である車載バッテリーの容量が小さければ、消費電力の大きな家電を使用するとバッテリーあがりの危険がある。車載バッテリーの容量は「5時間率」で記されており、たとえば、トヨタのミニバン、ヴェルファイアやハイエースに搭載されているバッテリーは5時間率約50Ah(10A=1000Wの電流を5時間取り出せる)で、同メーカーのコンパクトカー、パッソなどは約30Ahだ。バッテリーが弱っていたらなおさら使える電気は少なくなっている。
一般的なクルマから電気を取り出すときは、電気毛布や扇風機、パソコン等の充電、照明用など消費電力が少ないものにとどめておくほうがいいだろう。