下地処理の差がモノを言うコーティング
いまや、自動車の洗車において「ボディコーティング」は当たり前の存在になった。汚れがつきにくく、塗装面を強力に保護してくれるなど、新車時から施工している人も多いだろう。最近では施工してくれる場所も増えているが、最も目にするのがガソリンスタンドだろう。その内容を見ると、同じコーティングなのだが専門店に比べると価格はリーズナブルなのが一般的だ。では、プロの専門店とどこが違うのだろうか。
まず、コーティングの作業自体を改めて紹介すると、まずは洗車で汚れを落としたら、コンパウンドとバフを使って磨き上げる。この段階で塗装表面はコーティングの下地として完成されていて、そこに液剤を塗り込んで乾燥させて完了、というのが一般的だ(新車への施工は、キズがないので下地処理となる”磨き”は省略されることが多い)。
この施工順序で言えば、ガソリンスタンドでもコーティング専門店でも流れは同じ。では、どこが違うのかというと、まずは磨きのレベルだ。プロは鏡面を目指して、徹底的に磨き込んでいくし、ただ闇雲に進めるのではなく、塗装の劣化に合わせてあえて磨きこまないといった判断をしたりもする。いずれにしても現状の塗装の状態を把握し、光沢に差が出るバフやコンパウンドなどを使い分けてベストなコンディションにまで磨き上げるなど、仕上がりを左右する研磨技術のレベルが非常に高いとも聞く。
ガソリンスタンドでの技術力やメニューも向上
一方のガソリンスタンドでは、リスクを冒してまで限界を攻めることはしない。そもそもこだわって磨くと1日どころではなく、数日かかることもあるほど。ガソリンスタンドでは、クルマを預かるにしてもお客さんもそこまで求めていないはずだ。
そして、さらに細かい部分のどこまでこだわるかでも違う。専門店はモールのくすみもできる限り美しく仕上げるし、ホイールも独自にこだわった専用クリーナーできっちりと落とすが、ガソリンスタンドの簡易メニューではそこそこまでとなる。やはりリスクなどを考えると、それも仕方がないだろう。
もちろんコーティングの要となる液剤にも差がある。専門店では1本あたり数万円するようなガラスコーティング剤を使うことが多く、液剤による金額の差も大きい。そもそもプロとガソリンスタンドでは料金が大きく違うことから、液剤のレベルも違ってくるわけで、そうなると仕上がりや耐久性にも違いが出てくるのは当然のことだろう。また、専門店で施工すれば年に1回のメンテナンスを付帯していたり、さらにボディの状態を把握するための照明設備をはじめ、温度や湿度を徹底的に管理した専用ブースで作業するなど、施工環境にも大きく配慮されている。
ここまで比較してみたが、ガソリンスタンドの施工レベルは上がって来ているし、料金もプロに比べれば格段にリーズナブル。最近では研修を受けた専門スタッフが行なうこともあり、昔に比べるとコーティング技術は上がっているのも事実であり、1日預かりという専門店顔負けのメニューが用意されてところもある。年に数回と、予算に応じての候補としては十分ありだろう。