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グリップ力は高いのになぜ? レース用タイヤを公道で使ってはいけない理由

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TEXT: 斎藤 聡

使用環境が異なる街中で性能を発揮できない

 モータースポーツで見かけるスリックタイヤは、サーキットやターマックラリーなど限られた環境の中で、限られた距離を走ることを狙いにしたタイヤ。耐久性は必要最小限にとどめられおり、溝のないスリックタイヤは公道での使用は禁じられています(道路運送車両法では、タイヤ溝1.6mm以上の深さが必要)。

 最大の魅力は高いグリップ力。路面との摩擦で発生する熱を利用し、タイヤ表面のコンパウンドを溶かして路面との粘着力を高めるという仕組みですが、その性能を最大限に引き出すために適正温度はとても狭くなっています。

 例えば、F1で使われているスリックタイヤには、2018年シーズンは7種類+インターミディエイト(浅溝)とレインタイヤ(深溝)が用意されていました。さすがに多過ぎたのか2019年シーズンはドライ路面用は3カラーで5種類のコンパウンドになるようですが、いずれにしてもグリップ性能と走行距離がトレードオフの関係になっておりグリップを重視すれば摩耗が早く、摩耗を抑えることを重視すればグリップ性能が悪くなりタイムが落ちる、という関係が成り立ちます。

 また、気温の高いところでは、ソフトすぎるコンパウンドは向かずソフト側から2番目か3番目のタイヤのほうがタイムが出ることもあります。

 これは温度(≒路面温度)がタイヤの想定した温度域と合わないことからくる理由。F1で多用するタイヤの作動温度域はおよそ10度くらいなのだそうです。例えば、路面温度25度から35度を想定してつくったF1用スリックタイヤは気温が20度だとうまく機能しない、グリップ性能が上がってこないそうです。

 また、スーパー耐久用のハードコンパウンド(ロングディスタンス用)だと、スリックタイヤなのにグリップ性能はセミレーシングタイヤと同等かそれ以下、ということも。

 モータースポーツ用のスリックタイヤこそ、そのレース、そのクルマに向けて作ったスペシャルなので、使い方が合わないと全くグリップしないということはよくある話。また、市販車にスリックタイヤを付けてもサスペンションとのマッチングも大きな問題になります。スポーツサスも専用のセッティングを施さないと本来のグリップ性能が引き出せません。

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