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クルマの運動性能にも影響する? アルミホイール「鍛造と鋳造」の違いとは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)

コスト優先か、性能優先か

 アルミホイールには「鍛造」と「鋳造」という2つの製法がある。クルマ好きならばご存知かと思うけど、このふたつは具体的に何が違うんだろう。一般的には鍛造のほうが強度に優れるうえに軽量、つまり高性能というイメージが強い。そして、鋳造はコストパフォーマンスに優れると印象だ。それぞれのメリットとデメリットをより細かく、また製法や選び方について説明しよう。

 おそらく大半の人が”鍛造=高性能”との印象を持っているはず。それは概ね間違いではなく、レースのような過酷なフィールドで使われるホイールは、ほぼ鍛造モデルの独壇場と考えていい。高強度でありながら軽量というのが最大の理由だが、それを実現する秘密はズバリ「鍛造製法」にある。

 鍛造は原材料であるアルミニウムにプレス機で強い圧力をかけ、金型に押し込んで形を整える製法だ。圧力をかけることで金属粒子の密度が増し、気泡なども圧着させるため高い強度を確保できる。そのため、鋳造に比べて肉厚を薄く、スポークはより細く成型することが可能だ。

 一方の「鋳造」はアルミを高熱でドロドロに溶かし、金型に流し込んで成型する製法。その過程で発生した気泡が残る可能性があり、鍛造と同じ肉厚では強度が下がってしまう。そこで重くなるのを覚悟の上で肉厚を増す必要はあるものの、デザインの自由度が高いホイールを作ることができる。

 鍛造が軽量かつ高強度な理由は、製法の違いにあることを理解してもらえただろうか。対してデメリットは、成型に手間がかかりコストが跳ね上がること。大量生産にも向いているとはいえない製法であり、これらの弱点はすべて鋳造のメリットとなる。

 つまり、鋳造は短時間で生産できるためコストが下がり、ユーザーが手にしやすい価格で販売されるということ。また、前述のように緻密なデザインのホイールを作りやすいのも、ドレスアップ効果が大きいパーツだけに、見逃すことのできないメリットだろう。このように鍛造と鋳造はどちらにもメリットとデメリットがあり、自分の目的に合わせてチョイスするのが大切だ。

鍛造はクルマ本来の運動性能に貢献する

 では、鍛造ホイールはどのような人に向いているのか。軽さや強度がもっとも必要とされるのは、やはりサーキットに代表される走りのステージ。縁石に乗り上げただけで歪んだりせず、運動性能に大きく影響するバネ下の軽量化にも繋がる鍛造ホイールは、まさにベストマッチといえる。実際にコーナリング中やブレーキング時では、ヤワなホイールであれば歪みが発生。これによってタイヤの接地面が変化して、ハンドリングに悪影響を及ぼしているのだ。

 対して、鋳造は比較的ローコストで複雑なデザインが可能なため、よりドレスアップ性の高さを求める人に最適だ。純正ホイールも大半は鋳造製法なので、決して品質や性能が悪いというワケでもない。また、リム部分を圧延しながら成型することで、軽量かつ強度に優れる鋳造ホイールも存在するなど、パフォーマンスの高いモデルも存在している。

 ちなみに近年では鋳造と鍛造のメリットを併せ持つ製法も確立。溶けたアルミを金型に流し込み、固まりかけたときに圧力をかけて強度を高める「スクイズ製法」や、溶けたアルミ合金にプレスをかけながら成型する「溶湯鍛造法」など、ホイール製造の技術も常に進化し続けているわけだ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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