ネオクラシックなフォルムが放つ超高性能
3月5日からスイスで開催されている「第89回 ジュネーブオートショー」で、RUF Automobile GmbH(ルーフ・オートモビル/以下ルーフ)は「ルーフCTRアニバーサリー」の市販モデル1号車を出展。また最新のコンプリートモデルとなる「ルーフGT」も初披露された(下写真)。
ポルシェをベースにしつつも独自の商品群を構築。世界から認められたブランドが、ドイツ南部のファッフェンハウゼンに本拠を構えて創立80年を迎える「ルーフ」だ。単なるチューナーではなく、ポルシェからホワイトボディの提供を受けてコンプリートカーを世に送り出した実績を誇る。ドイツの自動車工業会にも所属し、自動車メーカーとして認知されている存在だ。
「イエローバード」と呼ばれた初代CTR(シーティーアール)がデビューしたのが1987年。930型911カレラをベースに排気量を3.4リッターに拡大。ツインターボとインタークーラーで武装し、469ps/553N・mのパワー/トルクを発揮する。
同年4月にアメリカの「Road & Track」誌がVWのテストコースに各国のスーパーカーを集めて実施したテストで、339.8km/hという新記録を達成。フェラーリの創立40周年記念モデル、F40の記録、323km/hを大きく更新したことで注目を集めた。
その初代CTR誕生から30年を記念して、2017年のジュネーブモーターショーで発表されたルーフ史上初のオリジナルとなるプロトタイプ「CTR 2017」が、ついに現実のものとなった。今年の同ショーで「CTRアニバーサリー(Anniversary)」として披露されたモデルが、市販モデルの第1号となる。 前述のとおり、初代CTRは930型がベース。さらに1995年に登場した2代目の「CTR2」は993型、さらに2007年にデビューした3代目の「CTR3」は997型をベースと、ルーフ社がポルシェにチューニングを加えたスペシャルイシューとなる。
ところがCTR 2017と、その市販バージョンとなったCTRアニバーサリーは、外観こそ初代のCTRを彷彿とさせるシルエットになっているが、ボディやモノコックは21世紀に求められる最新の水準に合わせるため、ルーフが独自に開発したオリジナルだ。モノコックシャーシやボディにはカーボンを採用し、車両重量1200kgという超軽量を実現。エンジンは3.6リッターの水平対向6気筒ツインターボで、最高出力は710psとアナウンスされている。
エンジンルームは、往年の空冷エンジンをイメージさせるネオクラシックなデザインをあえて採用。一方で重量バランスの均等化のため、エアコン用コンプレッサーとパワーステアリングポンプを電動として、エンジンルームの外に配置している。最高速度は360km/hを公称し、トランスミッションはRUF製7速マニュアルを採用。このトランスミッションや専用設計のリアウイングも、高性能を支える重要なファクターだ。
このCTRアニバーサリーの価格は75万ユーロ(約9400万円)。プロトタイプのCTR 2017が発表された直後に限定30台が完売となり、もはや入手は不可能だ。ただし、シャーシやボディを含めて多くの仕様が共通したNAエンジン搭載車両の「RUF SCR」は現行モデルとして販売されている。
そして、今回同時に発表された「ルーフGT」は、991型のポルシェ911をベースとしたコンプリートモデル。3.0リッターの水平対向6気筒エンジンから522ps/645N・mを発生し、総重量は1450kg。ローンチコントロール付き7速ダブルクラッチギアボックス(DCT)により、0-100km/h加速は3.4秒、最高速度は320km/hと発表されている。
なお、日本でのRUFコンプリートカーは京都府のRTCが取り扱っている。
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RTC TEL075-956-0930